君はSSS賞

 ——どきどき。
 鼓動よ、落ち着いて!

「元気にしてた?」
「はい、元気でした!」
 ……本当は全然元気じゃなかった。スーパーでのこともあったし、世那くんに会えてなかったから。

「俺は最近、この時間に活動スタートなんすよ」

 世那くんは、最近バイト先の人手が足りなくて、春休みの間は深夜帯にシフトを入れているらしい。今日も朝方帰ってきて昼まで寝て、それから銭湯に来たことを話してくれた。

「だからいなかったんだ……」
「え! 探してくれてたんすか?」
「あ、あの、コンビニ行く用事があって、そのときに……」

 探し歩いてるなんて恥ずかしくて言えなかったから、少しごまかした。

「えー! まじか! なんか、ハッピーっす」
 と、世那くんは少年っぽく僕に笑いかけた。

 え……? それって、僕が世那くんを意識してることが、世那くんにとってハッピーだったってことで合ってるよね?

「……ハッピー?」と僕が尋ねると、
「はい! 俺も、りっちゃんといつアイス食べよっかなーって思ってたから。お互い、考えてたってことっすもんね?」
 と、世那くんは質問で返した。

 ……勘違いしちゃうよ。
 その質問になんて返したかは覚えていない。

「俺、もう出るんだけど、アイス食べに来る? あ、ゆっくり入ってからでいいから」
 と、神提案をしてくれた。

「行きます!」
 嬉しい気持ちが伝わるように元気よく返事をした。

「オッケーっす! じゃ、またあとで」
 そう言って、世那くんは浴場から出て行った。

 僕はもうサウナには入らなかった。
 
 ぬるめのお風呂に浸かりながら、世那くんの鍛えられた身体を思い出していた。かっこよかったなぁ……。にやける顔を隠すように、顎までお湯に浸かった。

 急いで髪を乾かしてから脱衣所を出ると、世那くんは休憩スペースの畳にあぐらをかいていた。

「おまたせしました」
「全然待ってないっす。てか、髪まだ濡れてるじゃん」
 と言いながら、世那くんは僕の髪をわしゃわしゃっと撫でたあと、僕の頭に手を置いたまま、
「じゃ、行こっか」と言った。

 沼男すぎる。これ普段から無意識でやってるとしたら、みんな好きになっちゃうよ……。

 世那くんの家に来るのは一週間と少しぶり。

 前回はお部屋観察に必死で気づいてなかったけど、部屋全体にウッディ系の香りが漂っている。大人の色気を感じるような香りだった。

 銭湯で見た世那くんの姿とも相まって、ドキドキが止まらなかった。