君はSSS賞

 ——ずっきゅん。
 出会ってしまいました、運命の人に。

 学校帰り、最寄りの駅前のコンビニに入った。
 お目当ては今日から始まる一番くじ。僕がずっと読み続けている、奇妙な冒険を描いた少年漫画のものだった。

 店の一番奥まで早足で進む。
 あった!……まだ、購入券は残っている。
 券を一枚取り、僕は狙っているフィギュアが当たるよう祈りながら、レジへ向かった。

 お会計を済ませ、店員さんが「どうぞー」と言って、くじ券が入った箱を目の前に置いた。
 箱の中から一枚選び取った。息を呑みながら、くじ券をめくる……。

 ——『A賞』

 やったぁ! 一番好きなキャラのフィギュアが当たった。
 喜びを噛み締めていると、店員さんがテンション高めに声をかけてきた。

「おー! すごいじゃないっすか! おめでとうございます」

 その声を聞いて初めて、店員さんの顔を見上げた。

 ……え、待って。顔が良い。ビジュ強すぎる。

 その瞬間、僕の頭からフィギュアのことなんて吹き飛んでいた。

 店員さんはレジの裏からA賞のフィギュアが入った箱を持ってきてくれた。そして、僕に渡す前にこう言った。

「俺もこの漫画、好きなんすよね。しかもねー、このキャラが一番好き」

 もう、あげてしまってもいいとさえ思った。

「……えっ、あ、いいですよね! このキャラ、僕も一番好きです」
「おー、そうなんだ! 好きなの当たって、よかったね」

 僕は逃げるようにしてコンビニを後にした。
 何と返事をしたのかも全く覚えていない。

 思い返せば、普通のことしか言われていない。
 なのに、僕はもうこのお兄さんにメロメロになっていた。

 次の日から僕はそのコンビニに通った。

 昨日の朝までは、駅前にあるもう一つのコンビニに行っていた。そっちのほうが自宅から駅までの途中にあって、行きやすかったから。それだけの理由だったし。

 お兄さんはいついるんだろう? やっぱり昨日と同じ夕方ぐらいかな。大学生って感じがしたから、朝はいなさそうだな……。
 
 そうは思いながらも、僕は朝にミルクティーを買ってから登校するのが日課だから、あのコンビニへ行った。

 ……やっぱり、いないか……。

 僕はしょんぼりしながらミルクティーを買い、駅に向かった。
 予想通りだったけど、会いたかったなぁ。

 電車に揺られているときも、授業中も、お兄さんのことがずっと頭から離れなかった。期末テスト直前なのに……。先生が言ってる要点が、全く頭に入ってこない。
 今はダメだと思ってても、どうしても頭に浮かんでくる。

 低めの声、少し赤みがかった茶色の髪、少し気だるげな目元、きゅっと上がった口角……。

 僕、すぐ逃げちゃったはずなのに、結構覚えてるんだな。
 自分の記憶力の良さに感謝した。テストもいけるかも。

 ……帰りも寄っちゃうか。