俺の気持ちが嘘みたいに軽くなったのとは反対に、
「おまえの、そういうところに惹かれた。——そう、中一になって何もかも狂った」
佑士の声のトーンが低くなる。
今度は彼が、俺から目を背けた。
「兄弟の筈だった。なのに、たぶん夏が近づいた休みの日だったと思う……リビングで無防備に腹出して寝てるおまえを見て、直感的に『やばい』と思った。——欲情したんだよ」
最悪だ、と佑士が吐き捨てた。両足を折り曲げて引き寄せ、その膝頭へ顔をうずめる。
俺はといえば、生々しいはずの告白を受けても、微塵も嫌悪感が湧き上がってこない。それどころか、純粋に「嬉しい」っていう気持ちが強い。気分も高揚してるみたいにふわふわしてる。
そんな俺の様子に気づかず、くぐもった声で佑士は続けた。
「本当に、最初は純粋な気持ちしかなかった。なのに、どこかで歪んでった。後ろめたすぎて、何も知らないおまえの目を真っすぐ見られなくなった。あとは、おまえも知っての通りだよ」
「高校、俺と同じところにしたのはなんで?」
ここぞとばかりに、ずっと不思議だった点を尋ねてみる。
佑士の態度はずっと、俺との関わりを避けるものだった。その言外の意思を汲んで、俺はあんな不便な位置にある学校を選んだのに、蓋を開ければ佑士も同じ高校に進んだ。別に進学校だったり特殊な学科があるでもない、ごく一般的な公立高校だ。
正直、親から伝え聞いてた佑士の内申点と学力なら、二ランク上は狙えた。
顔を伏せたまま、佑士は答える。
「……さっき映画館で言っただろ、おまえの後ろ姿見てるのが好きだって。家だけじゃ足りなかったんだよ、仲悪ィから接点ねえし」
「仲悪いっていうか、佑士が一方的に壁作ってた感じだよな」
「だから、兄弟やるためだろ」
「おまえの、そういうところに惹かれた。——そう、中一になって何もかも狂った」
佑士の声のトーンが低くなる。
今度は彼が、俺から目を背けた。
「兄弟の筈だった。なのに、たぶん夏が近づいた休みの日だったと思う……リビングで無防備に腹出して寝てるおまえを見て、直感的に『やばい』と思った。——欲情したんだよ」
最悪だ、と佑士が吐き捨てた。両足を折り曲げて引き寄せ、その膝頭へ顔をうずめる。
俺はといえば、生々しいはずの告白を受けても、微塵も嫌悪感が湧き上がってこない。それどころか、純粋に「嬉しい」っていう気持ちが強い。気分も高揚してるみたいにふわふわしてる。
そんな俺の様子に気づかず、くぐもった声で佑士は続けた。
「本当に、最初は純粋な気持ちしかなかった。なのに、どこかで歪んでった。後ろめたすぎて、何も知らないおまえの目を真っすぐ見られなくなった。あとは、おまえも知っての通りだよ」
「高校、俺と同じところにしたのはなんで?」
ここぞとばかりに、ずっと不思議だった点を尋ねてみる。
佑士の態度はずっと、俺との関わりを避けるものだった。その言外の意思を汲んで、俺はあんな不便な位置にある学校を選んだのに、蓋を開ければ佑士も同じ高校に進んだ。別に進学校だったり特殊な学科があるでもない、ごく一般的な公立高校だ。
正直、親から伝え聞いてた佑士の内申点と学力なら、二ランク上は狙えた。
顔を伏せたまま、佑士は答える。
「……さっき映画館で言っただろ、おまえの後ろ姿見てるのが好きだって。家だけじゃ足りなかったんだよ、仲悪ィから接点ねえし」
「仲悪いっていうか、佑士が一方的に壁作ってた感じだよな」
「だから、兄弟やるためだろ」
