宿を出て、しばらく道なりに進むとメルトビアの町、ディレンが見えてきた。
近づくにつれ、徐々に見えるものが増え建物や町並みの全貌が鮮明になる。
エルヴェリア以上に緑が豊かで、平地の草原が多く、木製の建築物が多く建っている。
その中でもディレンは、王都に負けず劣らず活気があり美しい町だ。
メルトビアの王宮は、この町を進んだ先にある。
「いつ来ても賑わってるね、此処は」
「そうだな。」
ルアンとセリスは、町の中を馬で前進しながら話している。その後方では、ガレンとグレースが物珍しそうに見渡している。
「ここが、ディレンか。俺初めて来たわ」
「同じく私も~」
「そっか、ガレンとエミリアは初めてだったか!」
「俺達も初めて来た時は、俺達も驚いたもんだ」
そんな話をしながら馬を進めていくと町を抜けた。そこからは、一本道になっていて、道の両側は草原が広がっている。
その一本道の先には、赤い屋根に石造りの見事な城が聳え立っている。
ディレンから更に、馬と馬車を走らせること二時間、メルトビア城に着いたのは昼頃だった。
メルトビア城に着くと、門番に出迎えられ、中へと通された。
アリサンド王は応接間に案内された。ルアン達四人は部屋の外で待機することになった。
そして、四人ガレンとエミリアが先に休憩をとり、ルアンとセリスは見張りをすることにした。
「俺とセリスは、見張ってるから。ガレンとエミリアは先に休憩していいぞ。それで良いだろ?セリス」
「うん。構わないよ」
「分かった。じゃあ先にちょっと外すな。昼飯でも食べに行ってくるわ」
ガレンはセリスの返事を聞くとエミリアを誘い出て行った。
以降、ルアンとセリスが応接間の前で見張りをしていると、銀色の短髪で、前髪をセンタ-でかきあげている、青い目の男が闊歩してきた。
銀髪の男はセリスの前に来ると、心底嬉しそうにセリスに話かける。
「やぁ、セリス。久しぶりだね、会いたかったよ」
「リ、リシュエル様…!ご無沙汰しています」
その男こそがメルトビアの王子メルトビア・リシュエルだった。セリスは畏まりながらリシュエルを見る。
「相変わらず麗しいな……。私は君のような美しい女性を他に見たことはないよ」
「はぁ……そうですか、ありがとうございます」
リシュエルの言葉に困惑しながら返事ををするセリス。そんなセリスに気がつかずリシュエルは話し続ける。
「折角会えたんだ。大事な話もあることだし、オレの部屋で二人でお茶でもどうだろうか!」
「大事な話ですか…分かりまし」
セリスが「分かりました」と、了承しようとするのを遮り、ルアンは二人の間に割って入った。
さりげなく自分の後ろに、セリスを隠くしながら。
「失礼。まだ彼女は仕事中ですので、ここを離れる事は出来ません。ご用がおありでしたら、ここでお聞きします」
ルアンは、平静を装ってはいるが内心はすこぶる苛立っている。その証拠に相手が相手だけに敬語を使ってはいるが、その言葉には刺々しさが滲み出ている。
「また君か…。前回と言い今回と言い、邪魔をするな。オレはこの国の王子だぞ」
リシュエルは、セリスとの会話を邪魔され、あからさまに不愉快そうな顔で言う。
「存じております。ですが、貴方が彼女に何をするか分かりませんので、念のためです」
「……オレは彼女に何もしない。話をするだけだ。」
「その言葉を信用するとでも?」
「なっ!?貴様、このオレに向かって何だ!言い方に気を付けろ!」
リシュエルは憤慨し怒声を上げた。
「それに君に止める権利があるのか!ただの幼馴染みの君に!」
怒りが収まらないリシュエルは、尚もルアンにくってかかる。
「ありますよ。前回とは違うので」
ルアンとリシュエルは睨みあい、二人の間には見えない火花が散っているようだ。
険悪な雰囲気にセリスは、後ろでハラハラとしている。
「……なんだと?まさか…」
信じられないという顔で呟くリシュエルに、ルアンは追い討ちをかけるように言い放つ。
「えぇ、そのまさかです。彼女は私の恋人ですので、貴方と二人にさせることは出来ません」
「ふっ、そうか。恋人か…。ハハハハ。」
突然、狂ったように笑い出したリシュエルにルアンは訝しげな表情をする。
「何がおかしいのですか…」
「いや、まだオレにも余地はあるみたいだからな。此方も引くつもりはない。」
「………」
「オレには、彼女の気持ちを此方に向ける秘策がある」
「秘策、だと?何を企んでやがる。セリスには何もしないと言ったのは、やはり嘘か」
子細顔で言うリシュエルにルアンは眉間の皺を一層深くし、怜悧な目つきで凄む。
相手が誰であろうと、セリスに危害を加えるなら容赦しないとばかりに。
「ル、ルアン!ちょっとダメだって、そんな言い方!私なら大丈夫だから!本当に大事な話かもしれないでしょ!」
「……チッ。お前がそう言うなら仕方ない。ただし、くれぐれも気を付けろよ。危なくなったら、魔法使ってでも逃げろ」
後ろで大人しくしていたセリスが、これ以上はマズイとルアンを必死に止める。
セリスに言われ不承不承に折れた。ただし条件をつけて、である。
「話をするだけだよ。心配症なんだから…」
セリスは苦笑いを浮かべながら言う。
「では、行こうかセリス」
「はい」
(絶対解ってないだろ、アイツ)
リシュエルとセリスが歩いていくのをお見送りながら思うのであった。
この後、ルアンは渋々折れたことを死ぬほど後悔することになる。
近づくにつれ、徐々に見えるものが増え建物や町並みの全貌が鮮明になる。
エルヴェリア以上に緑が豊かで、平地の草原が多く、木製の建築物が多く建っている。
その中でもディレンは、王都に負けず劣らず活気があり美しい町だ。
メルトビアの王宮は、この町を進んだ先にある。
「いつ来ても賑わってるね、此処は」
「そうだな。」
ルアンとセリスは、町の中を馬で前進しながら話している。その後方では、ガレンとグレースが物珍しそうに見渡している。
「ここが、ディレンか。俺初めて来たわ」
「同じく私も~」
「そっか、ガレンとエミリアは初めてだったか!」
「俺達も初めて来た時は、俺達も驚いたもんだ」
そんな話をしながら馬を進めていくと町を抜けた。そこからは、一本道になっていて、道の両側は草原が広がっている。
その一本道の先には、赤い屋根に石造りの見事な城が聳え立っている。
ディレンから更に、馬と馬車を走らせること二時間、メルトビア城に着いたのは昼頃だった。
メルトビア城に着くと、門番に出迎えられ、中へと通された。
アリサンド王は応接間に案内された。ルアン達四人は部屋の外で待機することになった。
そして、四人ガレンとエミリアが先に休憩をとり、ルアンとセリスは見張りをすることにした。
「俺とセリスは、見張ってるから。ガレンとエミリアは先に休憩していいぞ。それで良いだろ?セリス」
「うん。構わないよ」
「分かった。じゃあ先にちょっと外すな。昼飯でも食べに行ってくるわ」
ガレンはセリスの返事を聞くとエミリアを誘い出て行った。
以降、ルアンとセリスが応接間の前で見張りをしていると、銀色の短髪で、前髪をセンタ-でかきあげている、青い目の男が闊歩してきた。
銀髪の男はセリスの前に来ると、心底嬉しそうにセリスに話かける。
「やぁ、セリス。久しぶりだね、会いたかったよ」
「リ、リシュエル様…!ご無沙汰しています」
その男こそがメルトビアの王子メルトビア・リシュエルだった。セリスは畏まりながらリシュエルを見る。
「相変わらず麗しいな……。私は君のような美しい女性を他に見たことはないよ」
「はぁ……そうですか、ありがとうございます」
リシュエルの言葉に困惑しながら返事ををするセリス。そんなセリスに気がつかずリシュエルは話し続ける。
「折角会えたんだ。大事な話もあることだし、オレの部屋で二人でお茶でもどうだろうか!」
「大事な話ですか…分かりまし」
セリスが「分かりました」と、了承しようとするのを遮り、ルアンは二人の間に割って入った。
さりげなく自分の後ろに、セリスを隠くしながら。
「失礼。まだ彼女は仕事中ですので、ここを離れる事は出来ません。ご用がおありでしたら、ここでお聞きします」
ルアンは、平静を装ってはいるが内心はすこぶる苛立っている。その証拠に相手が相手だけに敬語を使ってはいるが、その言葉には刺々しさが滲み出ている。
「また君か…。前回と言い今回と言い、邪魔をするな。オレはこの国の王子だぞ」
リシュエルは、セリスとの会話を邪魔され、あからさまに不愉快そうな顔で言う。
「存じております。ですが、貴方が彼女に何をするか分かりませんので、念のためです」
「……オレは彼女に何もしない。話をするだけだ。」
「その言葉を信用するとでも?」
「なっ!?貴様、このオレに向かって何だ!言い方に気を付けろ!」
リシュエルは憤慨し怒声を上げた。
「それに君に止める権利があるのか!ただの幼馴染みの君に!」
怒りが収まらないリシュエルは、尚もルアンにくってかかる。
「ありますよ。前回とは違うので」
ルアンとリシュエルは睨みあい、二人の間には見えない火花が散っているようだ。
険悪な雰囲気にセリスは、後ろでハラハラとしている。
「……なんだと?まさか…」
信じられないという顔で呟くリシュエルに、ルアンは追い討ちをかけるように言い放つ。
「えぇ、そのまさかです。彼女は私の恋人ですので、貴方と二人にさせることは出来ません」
「ふっ、そうか。恋人か…。ハハハハ。」
突然、狂ったように笑い出したリシュエルにルアンは訝しげな表情をする。
「何がおかしいのですか…」
「いや、まだオレにも余地はあるみたいだからな。此方も引くつもりはない。」
「………」
「オレには、彼女の気持ちを此方に向ける秘策がある」
「秘策、だと?何を企んでやがる。セリスには何もしないと言ったのは、やはり嘘か」
子細顔で言うリシュエルにルアンは眉間の皺を一層深くし、怜悧な目つきで凄む。
相手が誰であろうと、セリスに危害を加えるなら容赦しないとばかりに。
「ル、ルアン!ちょっとダメだって、そんな言い方!私なら大丈夫だから!本当に大事な話かもしれないでしょ!」
「……チッ。お前がそう言うなら仕方ない。ただし、くれぐれも気を付けろよ。危なくなったら、魔法使ってでも逃げろ」
後ろで大人しくしていたセリスが、これ以上はマズイとルアンを必死に止める。
セリスに言われ不承不承に折れた。ただし条件をつけて、である。
「話をするだけだよ。心配症なんだから…」
セリスは苦笑いを浮かべながら言う。
「では、行こうかセリス」
「はい」
(絶対解ってないだろ、アイツ)
リシュエルとセリスが歩いていくのをお見送りながら思うのであった。
この後、ルアンは渋々折れたことを死ぬほど後悔することになる。


