毒父に物資として戦地に送られた転生治癒師、無自覚チートで何でも癒しちゃいます

「う、うーん。ここは……」

 翌朝、僕はソファーからむっくりと起き上がった。
 早く寝てしまったからなのか、かなり早く起きてしまった。
 スラちゃんたちも既に起きていて、テーブルの上でぴょんぴょんと跳ねていた。
 うん、ゆっくりと寝たから体力も魔力もすっかり回復した。
 魔法袋から屋敷の使用人が作ってくれたサンドイッチを出してみんなでもぐもぐと食べて、身支度を整えた。
 ようやく日が昇り始めたくらいだけど、既に外では作業が始まっていた。
 僕たちは、お手洗いを済ませて手を洗ってから外に出て再び作業に出た。

 シュイン、バキバキ。

「持ち上げました。道路側に移動させます」
「やってくれー!」

 この日も、僕は念動で瓦礫の撤去を手伝っていた。
 救出された人を直ぐに治療し、搬送してもらった。
 この日は作業分担を始め、回復魔法が使えるシロちゃんとレモンちゃんに昨日治療しきれなかった住民への治療をお願いした。
 代官邸前での炊き出しも本格的に始まり、料理ならお任せのリーフちゃんとアクアちゃんに手伝って貰った。
 こんな状況なので、アクアちゃんが魔法で生み出す新鮮な水を飲めるのもありがたいという。
 そして、魔力量が大きい僕とスラちゃんでどんどんと救出作業を行っていた。
 お昼までに半分くらいの倒壊家屋から人を救い出し、昼食を食べながら休憩となった。

「もぐもぐ、何とか今日中に全ての倒壊家屋から救出したいです」
「とはいえ、無理は禁物だ。昨日みたいに倒れても仕方ない。陛下たちも、ケンが倒れたと聞いてとても心配していた」

 ゴードン様から注意を受けたが、僕は今日も可能な限り何とかしたいと思っていた。
 やらないといけないことは沢山あるし、救出作業も時間との問題だ。
 でも、焦っては駄目だと僕は強制的に休憩を取らされることになった。

「しかし、【蒼の治癒師】と一緒にいるスライムの魔法は物凄い。怪我人への治療だけでなく、凄まじいほどの救出作業をするとは」

 代官のアナザー様も、状況が好転して表情がとても明るかった。
 各地から物資も届き、今日も王都からの小型魔導船に乗っていた治療兵がたくさんの荷物を魔法袋に入れて持ってきてくれた。
 ここからは、どんなものが必要なのかニーズを聞いて荷物を集めるという。
 さて、休憩も取ったし午後も頑張らないと。

 シュイン、バキバキ。

「今だ、引っ張り出すぞ!」
「「「そーれ!」」」

 午後もフル回転で念動を使って倒壊家屋からの救出作業を行い、夕方前に何とか全ての倒壊家屋からの救出を終えた。
 でも、まだまだやることはあった。
 僕とスラちゃんは、今度は教会に向かって怪我人の治療を始めた。

 シュイン、ぴかー!

「これで良くなりましたよ。では、次の人」
「凄い、これが【蒼の治癒師】の回復魔法……」

 今日はゆっくりお話しながらの治療はできず、とにかくスピード重視で治療した。
 動けない人への治療は、スラちゃんがぴょんぴょんと飛び跳ねながら移動して治療をしていた。

 シュイン、ぴかー!

「ふ、ふう。つ、次の人……」
「あ、【蒼の治癒師】様、無理をなさらないで下さい! 顔色が悪いです」

 炊き出しのスープをもらいながら、僕は流れ出る汗を拭いて治療した。
 シスターさんに止められても、僕は一人でも多くの怪我人を治療しようとした。
 既にスラちゃんは魔力切れで、一足先に代官邸に運ばれていた。

「つ、次の……」

 ドサッ。

「【蒼の治癒師】様!」

 遂に僕も魔力切れを起こしてしまい、体力も限界を迎えてしまった。
 椅子から転げ落ちてしまい、そのまま動けなくなった。
 シスターさんが慌てた様子で駆け寄り、兵が僕をひょいと抱き上げた。

「ご、ごめんなさい。明日、また、治療しま……」

 僕が意識を保てたのはここまでだった。
 そして、また兵に抱き上げられながら代官邸の応接室にあるソファーに寝かされたのだった。