【7月刊行予定】毒父に物資として戦地に送られた転生治癒師、無自覚チートで何でも癒しちゃいます

 昼食を食べ終えたら、いよいよ温泉に入ることになった。
 宿のお風呂もあるらしく、この村には公衆露天風呂があるという。
 せっかくなので、みんなで公衆露天風呂に入ることにした。
 クリスだけでなく、エレンお祖父様とビーズリーさんも水着を持ってきているという。
 うん、準備万端だ。

「はい、お金です」
「あいよ、毎度あり」

 受付でエレンお祖父様がお金を払い、男女別の更衣室に向かった。
 もちろん僕、エレンお祖父様、ビーズリーさんは男子更衣室に向かい、クリスは女子更衣室に向かった。

「荷物は、ロッカーに入れるんですね。鍵付きなのがありがたいです」
「盗難対策はしっかりとしているみたいだ。どうやら、無理矢理開けようとすると警報音が鳴る仕組みらしい」

 ビーズリーさんも感心する盗難対策だった。
 軍でも取り入れようと考えていた辺り、流石だと思っていた。
 そして、目的の露天風呂へと向かった。

「わあ、とても良い温泉ですね」
「とても大きいし、多くの人が入っているのう」

 昼食後にも関わらず、露天風呂には多くの人が温泉を楽しんでいた。
 エレンお祖父様もビーズリーさんも良い感じの露天風呂の雰囲気に満足しつつ、洗い場に移動して身体を洗おうとした。

「あっ、ここにいたのね」

 すると、クリスとスラちゃんたちも女子更衣室から姿を現した。
 男性は普通の水着なのだが、クリスは赤いビキニタイプの水着を着ていた。
 でも、よく見ると他の女性も普通にビキニを身につけていた。
 女性の胸の大きさの成長は分からないが、クリスは年相応と思っておこう。
 洗い場で身体をゴシゴシと洗い、頭も洗っていく。
 クリスも、僕の隣に座って一緒に身体を洗った。

「ケンの体って線が細いかと思ったけど、思ったよりも筋肉がついているね」
「このくらいなら合格といえよう。油断せずに鍛えることだ」

 軍人貴族一家のクリスとビーズリーさんは、そこそこ筋肉がある僕の身体に興味津々だ。
 毎日剣の訓練をしているから、同年代の中では筋肉質だと思うよ。
 スラちゃんたちの体もピカピカに洗い、いよいよ露天風呂へ。

「はぁ、気持ちいい……」
「ケン、おじいちゃんみたいよ。でも、これは本当に気持ちいいわね……」

 お湯の温度も丁度良く、本当に気持ちいい温泉だった。
 僕の横にいるクリスも、お互いに話をしているエレンお祖父様とビーズリーさんもとても気持ちよさそうにしていた。
 スラちゃんたちも気持ち良さそうに温泉にプカプカと浮いていて、時々遠くに流されないように僕の近くに移動させていた。
 しかし、本当に気持ちいい温泉だ。

「今回の騒動がなければ、もっと早く温泉に入れたかも……」
「その可能性は高いが、今日は民を救ったご褒美だと思えば良い」
「治療などに時間がかかった可能性もある。何にせよ、こうして無事に終わったことを喜ぶ方が良い」

 エレンお祖父様とビーズリーさんは、流石の大人の考え方だった。
 下手したら温泉街にゴブリンの襲撃があったかもしれないし、そう考えると本当に良かったのかも知れない。
 そんな中、クリスがプカプカと浮いているスラちゃんをちょんちょんと指で突っつきながらこんなことを言ってきたのだ。

「ケンも、やっぱり胸が大きい女の人の方が魅力的なの?」

 あ、危うく吹き出しそうになってしまった。
 そして、クリスの視線の先にはナイスバディのお姉さんがいた。
 そのお姉さんを、多くの男性が鼻の下を伸ばしながら見ていたのだ。
 何というか、欲望丸出しだよ……

「クリスはまだまだ成長期だし、気にしなくても良いんじゃないかな。それに、端から見ると、お姉さんを見ている男性がちょっとだらしないというか……」
「うーん、そうよね。でも、お友達曰く胸が小さい子の方が好きな男性もいるらしいわ」

 おいおい、そんな情報をクリスに教えたのは一体誰なのかと思ってしまった。
 話を聞いていたエレンお祖父様とビーズリーさんも、返答し難い表情をしていたのだった。
 何にせよ、温泉を堪能できて僕たちは大満足だった。
 温泉地から直轄領に馬車に乗って戻り、早速ルーカス様に視察の報告を行った。

「綺麗に纏まっている。この、盗難対策付きのロッカーは、早速導入を検討しよう。あと、鍋の具材などは私も取り寄せる。シーリアも、必ずお土産を買ってくるようにと言ったのだよ」

 盗難対策付きのロッカーは既に市販されているらしく、ルーカス様も高評価だった。
 どの家庭も、出張したら奥さんへの贈り物を買わないといけないみたいだ。
 こうして、温泉地への視察と保養は終了した。
 明日は、いよいよ王都へと戻ることになる。
 長いようで短いような滞在期間だったが、直轄領の平和を取り戻せて本当に良かったと思ったのだった。