次の日。
もうある程度動けるようにまで回復したため、ルーナは、アルジェントと共にペンションを後にした。
眼帯は、ずっと付けていると目によくないと言われ外すことにした。
あの時は、記憶の無い中で馬車に乗ったため、初めての馬車ということになる。
だから、どうすれば良いのか分からなかったため、窓の外を眺めたり手元を見たりしている。
アルジェント様について追加で教えてもらったことがある。
職業は、貴族相手に商売をしていて、そこそこよい家柄の出身なのだという。
凸凹の道を少し進むと、アルジェントが話しかけてくる。
「ルーナ、道中寄りたい所があるんだ」
「もちろんです。どこに寄るのですか?」
ルーナは、思いきって質問してみた。
「それは着いてからのお楽しみだよ」
人差し指を口元に添え、私の質問には答えてくれなかった。
少しすると、見慣れた田舎の景色から移り変わっていく。
慣れない馬車の中で、アルジェント様は気遣い話をしてくれた。
馬車が止まり、目的の場所に着いたようだ。
順番に馬車を下り、ルーナは辺りを見るとと、隣町に来たようで、賑わいを感じる。
古そうな洋服屋がルーナの目に入り、外観と比較するとショーウィンドウは、きらびやかな洋服が飾られている。
「着いておいで」
アルジェントに言われるまま、その洋服屋に入っていく。
洋服屋の中に入ると、沢山の服が並べられていたり、おすすめの服が目立っておかれている。
しかし、アルジェントはこの服たちには見向きもせず奥へとどんどん進んでいく。
アルジェントは、奥にある扉で立ち止まると扉をノックした。
すると、扉に付いていた小窓が開き誰かと話し始めた。
ルーナには、理解できない暗号のみたいな言葉である。
アルジェントが話すとその扉が開かれたのだった。
そこは、どうやらこの洋服屋の倉庫のようで、少し歩くと扉がまた現れた。
アルジェントは、服の中からペンダントを手繰り寄せ、紋章のようなものを扉に当てると、扉が開く音がした。
ギィーと音を立てながら分厚い扉をアルジェントが力一杯に開くと、見たこともない景色がそこには広がっていたのでした。
ルーナは、その景色に圧倒されてしまっています。
アルジェントはルーナのその姿を見て言います。
「恐れることはない。付いておいで」
ルーナは、心臓が速くなるのを感じ、思わず目をぎゅっと瞑ります。
おそるおそる扉の向こうに足を踏み入れたのでした。
扉を潜り抜けると、後ろからベルの音がし、ルーナは目を開けて振り返ると、そこにはガラスドアと、【オープン】と書かれたプレートが吊るされている。
(どういうこと??)
頭の中は、この状況を処理できていません。
「ルーナ」
名前を呼ばれたルーナは、慌ててアルジェントの方を向く。
そこに広がっていたのは、石畳の狭い路地の通りで、馬車が一台通れるほどの道にお店が所狭しと並んでいて沢山の人々が行き交っていたのでした。
「行こう」
アルジェントはそういうと、ルーナの袖を強く握ります。
「離れないようにね」
突然、握られて緊張してしまい、ルーナは体の動きがぎこちなくなってしまいます。
二人は歩きだす。
アルジェントは、何も話すことなくどんどん歩いていく。
そんな中でも、ルーナの目に映る全てが、見たことのない不思議な物ばかりで溢れていたのでした。
それに、ルーナたちが住んでいる世界では見慣れない服装の人ばかりを見かけます。
見た限りでは、長い羽織のような服を着た人を多く見かけます。
そのあと随分歩くと、アルジェントは人気のない暗く細い路地に進んでいきます。
ある店で足を止めると店に入っていきます。
店の中を見ると、洋服屋のようで帽子が壁一面に掛けられて、服は棚に乱雑に並べられたり、ハンガーラックには、隙間なく服が掛けられています。
アルジェントは、そのままどんどん奥に進んでいきます。
会計する場所まで来ましたが、人の気配はありません。
アルジェントはルーナの袖を離します。
「エル」
シャルルは人の気配がないその場所に声をかけます。
「はいー」
カーテンが揺れ女性が顔を覗かせたのでした。
「なんだアルじゃないの」
「久しぶりだね」
アルジェントは、表情を変えることなく挨拶をすると、店主と思われる女性は、かすかに微笑みを見せたのでした。
ルーナは、女性店主をアルジェントの後ろから見てみる。
二十代後半くらいで、茶色の髪を後ろで丸めて括っておりキレイめな感じなのだが、雰囲気は少し怖そうに見えた。
「頼んでおいたものくれるかい」
「かしこまりました。何だかアルが人を連れてくるなんて、珍しいね」
「まあね、そういうときもあるよ」
「そうなの。少し時間をもらっても」
「ああ、もちろんだよ」
アルジェントは、ルーナの方を向く。
「少しここで待っていてくれるかい。用事が思い出してね。すぐ戻るよ。この人は、口は悪いけど悪い人じゃないから大丈夫だよ。行ってくるね」
「は、はい」
そういうとアルジェントは、ルーナを置いてどこかに行ってしまいました。
ルーナは、何をすればいいのか分からず、伏し目がちにしながら女性店主とは反対の方を向きます。
珍しい、見たことのないものばかりが並んでいる。
(これはなんだろう。鏡だろうか)
気になった商品を見ていると、突然女性店主がルーナに話しかけてきたのでした。
声に肩が、ビクッと動いてしまいました。
ルーナは、女性店主の方に振り返ります。
「怖がらなくていいよ。そんなことよりあんたはアルとはどんな関係なんだい?」
ルーナは、突然そんなことを言われてしまい困ってしまう。
(どう説明すれば良いのだろうか?「一緒に暮らすことになる人です」と言えば良いのだろうか。でもアルジェント様が居ない場で言わない方が良いのではないか)
頭の中でグルグル考えてしまう。
(でもさすがに初対面の人には言う勇気がない)
女性店主は、黙っているルーナを見かねたのか他の言葉で尋ねてくる。
「友達?知り合いとかなのかい?」
「はい。そうです」
今にも、消え入りそうな小さな声で、ルーナは返事をした。
(そういうことに一様しておくことにしよう)
すると、女性店主と入れ違いでアルジェントが戻ってきた。
「ルーナ、怖いことはされなかったかい?」
ルーナは下を向きながら、小さな声で返事をする。
「そう。ルーナ、僕の近くにおいで」
ルーナは、アルジェントの近くに寄っていく。
しばらく待っていると、奥の方から女性店主が戻ってきます。
アルジェントに、商品が入っている箱の中身を確認してもらう。
ダークグリーンの紙袋に入れてもらい商品を受け取ると二人はお店を出ていきます。
「ルーナ行こうか」
「はい」
歩き始めるとアルジェントがルーナに言いました。
「どこか寄りたい店はある?」
「あ、その前に一体ここはどこですか?」
「ここは、ムーン横丁といって色々な店が軒を連ねていてね。ここに来れば、何でも揃うと有名な場所なんだよ」
「そうなんですか。では、これはなんですか?」
ルーナは立ち止まる。
店の入り口近くの、棚の上に置かれていた懐中時計のようなものをアルジェントに渡す。
「これは、時間を止めることができるものだよ」
「時間を止める?」
(どういうこと?アルジェント様は何を言っているの?)
ルーナは、アルジェントの口から出た言葉が理解できなかったのです。
すると、アルジェント様は、突然懐中時計を開きます。
なんと、さっきまで歩いていたはずの人たちの動きが止まっています。
ルーナとアルジェントの二人以外は誰も動いていません。
ルーナは唖然としてしまう。
「アルジェント様、この状況はどういうことですか?」
すると、自分にとっては普通のように話す。
「魔法だよ」
「ま・ほ・う?」
(魔法??)
「これは、魔道具を開くと、時間を止めることが出来る」
「時間を…止める?」
「ルーナ、秘密を教えてるよ。僕は、魔法使いなんだ」
「まほうつかい……?」
次々に、アルジェントの口から出てくる現実味のない言葉たちにルーナは、戸惑いを隠せない。
「そう、魔法使い。今居るこの場所は、魔法界で、ここにいる人々はみんな魔法界に住んでいる住人たちだよ」
(聞いたことがある話だと魔法使いはすでに全滅してしまったらしい。まだ魔法使いがいたということなの?)
「ルーナは、僕が怖いかい?」
アルジェントはルーナに尋ねます。
「怖くありません」
「ルーナ、これを見ても驚かないでいてくれるかい?」
そういうと、みるみるうちにアルジェントの姿が若くなっていくではありませんか。
さっきまで三十代後半くらいの姿が、魔法が溶けて二十代前半くらいに変わっていく。
ルーナは、目の前で変わっていく姿をただ見ていることしか出来ない。
「ルーナ、これが僕の本当の姿だよ」
その姿は、手足が長く顔が小さく、エメラルド色の宝石のような瞳にキレイな金髪の美しい男性だったのです。
まるでその姿は、いつかの夢で見た男性の姿であった。
今、この瞬間、世界中の時間が止まっていて、私とアルジェント様の二人っきりしかこの世界にいないように思えてしまう。
そんな感覚になってしまう。
彼の名前は、アルジェント・シャルル。
彼は、今日から私の主になる人である。
もうある程度動けるようにまで回復したため、ルーナは、アルジェントと共にペンションを後にした。
眼帯は、ずっと付けていると目によくないと言われ外すことにした。
あの時は、記憶の無い中で馬車に乗ったため、初めての馬車ということになる。
だから、どうすれば良いのか分からなかったため、窓の外を眺めたり手元を見たりしている。
アルジェント様について追加で教えてもらったことがある。
職業は、貴族相手に商売をしていて、そこそこよい家柄の出身なのだという。
凸凹の道を少し進むと、アルジェントが話しかけてくる。
「ルーナ、道中寄りたい所があるんだ」
「もちろんです。どこに寄るのですか?」
ルーナは、思いきって質問してみた。
「それは着いてからのお楽しみだよ」
人差し指を口元に添え、私の質問には答えてくれなかった。
少しすると、見慣れた田舎の景色から移り変わっていく。
慣れない馬車の中で、アルジェント様は気遣い話をしてくれた。
馬車が止まり、目的の場所に着いたようだ。
順番に馬車を下り、ルーナは辺りを見るとと、隣町に来たようで、賑わいを感じる。
古そうな洋服屋がルーナの目に入り、外観と比較するとショーウィンドウは、きらびやかな洋服が飾られている。
「着いておいで」
アルジェントに言われるまま、その洋服屋に入っていく。
洋服屋の中に入ると、沢山の服が並べられていたり、おすすめの服が目立っておかれている。
しかし、アルジェントはこの服たちには見向きもせず奥へとどんどん進んでいく。
アルジェントは、奥にある扉で立ち止まると扉をノックした。
すると、扉に付いていた小窓が開き誰かと話し始めた。
ルーナには、理解できない暗号のみたいな言葉である。
アルジェントが話すとその扉が開かれたのだった。
そこは、どうやらこの洋服屋の倉庫のようで、少し歩くと扉がまた現れた。
アルジェントは、服の中からペンダントを手繰り寄せ、紋章のようなものを扉に当てると、扉が開く音がした。
ギィーと音を立てながら分厚い扉をアルジェントが力一杯に開くと、見たこともない景色がそこには広がっていたのでした。
ルーナは、その景色に圧倒されてしまっています。
アルジェントはルーナのその姿を見て言います。
「恐れることはない。付いておいで」
ルーナは、心臓が速くなるのを感じ、思わず目をぎゅっと瞑ります。
おそるおそる扉の向こうに足を踏み入れたのでした。
扉を潜り抜けると、後ろからベルの音がし、ルーナは目を開けて振り返ると、そこにはガラスドアと、【オープン】と書かれたプレートが吊るされている。
(どういうこと??)
頭の中は、この状況を処理できていません。
「ルーナ」
名前を呼ばれたルーナは、慌ててアルジェントの方を向く。
そこに広がっていたのは、石畳の狭い路地の通りで、馬車が一台通れるほどの道にお店が所狭しと並んでいて沢山の人々が行き交っていたのでした。
「行こう」
アルジェントはそういうと、ルーナの袖を強く握ります。
「離れないようにね」
突然、握られて緊張してしまい、ルーナは体の動きがぎこちなくなってしまいます。
二人は歩きだす。
アルジェントは、何も話すことなくどんどん歩いていく。
そんな中でも、ルーナの目に映る全てが、見たことのない不思議な物ばかりで溢れていたのでした。
それに、ルーナたちが住んでいる世界では見慣れない服装の人ばかりを見かけます。
見た限りでは、長い羽織のような服を着た人を多く見かけます。
そのあと随分歩くと、アルジェントは人気のない暗く細い路地に進んでいきます。
ある店で足を止めると店に入っていきます。
店の中を見ると、洋服屋のようで帽子が壁一面に掛けられて、服は棚に乱雑に並べられたり、ハンガーラックには、隙間なく服が掛けられています。
アルジェントは、そのままどんどん奥に進んでいきます。
会計する場所まで来ましたが、人の気配はありません。
アルジェントはルーナの袖を離します。
「エル」
シャルルは人の気配がないその場所に声をかけます。
「はいー」
カーテンが揺れ女性が顔を覗かせたのでした。
「なんだアルじゃないの」
「久しぶりだね」
アルジェントは、表情を変えることなく挨拶をすると、店主と思われる女性は、かすかに微笑みを見せたのでした。
ルーナは、女性店主をアルジェントの後ろから見てみる。
二十代後半くらいで、茶色の髪を後ろで丸めて括っておりキレイめな感じなのだが、雰囲気は少し怖そうに見えた。
「頼んでおいたものくれるかい」
「かしこまりました。何だかアルが人を連れてくるなんて、珍しいね」
「まあね、そういうときもあるよ」
「そうなの。少し時間をもらっても」
「ああ、もちろんだよ」
アルジェントは、ルーナの方を向く。
「少しここで待っていてくれるかい。用事が思い出してね。すぐ戻るよ。この人は、口は悪いけど悪い人じゃないから大丈夫だよ。行ってくるね」
「は、はい」
そういうとアルジェントは、ルーナを置いてどこかに行ってしまいました。
ルーナは、何をすればいいのか分からず、伏し目がちにしながら女性店主とは反対の方を向きます。
珍しい、見たことのないものばかりが並んでいる。
(これはなんだろう。鏡だろうか)
気になった商品を見ていると、突然女性店主がルーナに話しかけてきたのでした。
声に肩が、ビクッと動いてしまいました。
ルーナは、女性店主の方に振り返ります。
「怖がらなくていいよ。そんなことよりあんたはアルとはどんな関係なんだい?」
ルーナは、突然そんなことを言われてしまい困ってしまう。
(どう説明すれば良いのだろうか?「一緒に暮らすことになる人です」と言えば良いのだろうか。でもアルジェント様が居ない場で言わない方が良いのではないか)
頭の中でグルグル考えてしまう。
(でもさすがに初対面の人には言う勇気がない)
女性店主は、黙っているルーナを見かねたのか他の言葉で尋ねてくる。
「友達?知り合いとかなのかい?」
「はい。そうです」
今にも、消え入りそうな小さな声で、ルーナは返事をした。
(そういうことに一様しておくことにしよう)
すると、女性店主と入れ違いでアルジェントが戻ってきた。
「ルーナ、怖いことはされなかったかい?」
ルーナは下を向きながら、小さな声で返事をする。
「そう。ルーナ、僕の近くにおいで」
ルーナは、アルジェントの近くに寄っていく。
しばらく待っていると、奥の方から女性店主が戻ってきます。
アルジェントに、商品が入っている箱の中身を確認してもらう。
ダークグリーンの紙袋に入れてもらい商品を受け取ると二人はお店を出ていきます。
「ルーナ行こうか」
「はい」
歩き始めるとアルジェントがルーナに言いました。
「どこか寄りたい店はある?」
「あ、その前に一体ここはどこですか?」
「ここは、ムーン横丁といって色々な店が軒を連ねていてね。ここに来れば、何でも揃うと有名な場所なんだよ」
「そうなんですか。では、これはなんですか?」
ルーナは立ち止まる。
店の入り口近くの、棚の上に置かれていた懐中時計のようなものをアルジェントに渡す。
「これは、時間を止めることができるものだよ」
「時間を止める?」
(どういうこと?アルジェント様は何を言っているの?)
ルーナは、アルジェントの口から出た言葉が理解できなかったのです。
すると、アルジェント様は、突然懐中時計を開きます。
なんと、さっきまで歩いていたはずの人たちの動きが止まっています。
ルーナとアルジェントの二人以外は誰も動いていません。
ルーナは唖然としてしまう。
「アルジェント様、この状況はどういうことですか?」
すると、自分にとっては普通のように話す。
「魔法だよ」
「ま・ほ・う?」
(魔法??)
「これは、魔道具を開くと、時間を止めることが出来る」
「時間を…止める?」
「ルーナ、秘密を教えてるよ。僕は、魔法使いなんだ」
「まほうつかい……?」
次々に、アルジェントの口から出てくる現実味のない言葉たちにルーナは、戸惑いを隠せない。
「そう、魔法使い。今居るこの場所は、魔法界で、ここにいる人々はみんな魔法界に住んでいる住人たちだよ」
(聞いたことがある話だと魔法使いはすでに全滅してしまったらしい。まだ魔法使いがいたということなの?)
「ルーナは、僕が怖いかい?」
アルジェントはルーナに尋ねます。
「怖くありません」
「ルーナ、これを見ても驚かないでいてくれるかい?」
そういうと、みるみるうちにアルジェントの姿が若くなっていくではありませんか。
さっきまで三十代後半くらいの姿が、魔法が溶けて二十代前半くらいに変わっていく。
ルーナは、目の前で変わっていく姿をただ見ていることしか出来ない。
「ルーナ、これが僕の本当の姿だよ」
その姿は、手足が長く顔が小さく、エメラルド色の宝石のような瞳にキレイな金髪の美しい男性だったのです。
まるでその姿は、いつかの夢で見た男性の姿であった。
今、この瞬間、世界中の時間が止まっていて、私とアルジェント様の二人っきりしかこの世界にいないように思えてしまう。
そんな感覚になってしまう。
彼の名前は、アルジェント・シャルル。
彼は、今日から私の主になる人である。
