ひとりぼっちの私のことを救ってくれたのは魔法使いでした。

 ルーナは、目を覚ます。
 ここはどこだろうか。

 ベッドと木製のドレッサーが置かれているだけなのです。
 いつの間に眠ってしまったのだろう。
 不思議に思いつつも、ベッドから起き上がる。
 小窓から月の明かりが入り、部屋を照らしている。
 ここは、屋根裏部屋のようである。

 あの頃に戻った気分になる。


 扉を開けると、直ぐ急な階段になっている。
 その階段をゆっくり下りていきます。

 一階に着くと、キッチンの部屋の方から明かりが洩れています。
 歩くと、床の軋む音がする。

 キッチンの部屋の近くに行ってみると、シャルルとエミリオの声が聞こえてきました。
 ルーナは、少し迷いましたが、扉を開ける。

 二人は、扉の方を見る。

 「ルーナ起きたんだね」
 「シャルル様、戻っていたのですね」
 「そうなんだ。戻ったらルーナが眠っていたから起きるまで待っていたんだ」
 「そうだったのですね。いつの間にか寝てしまったのですね」

 エミリオも会話に加わる。

 「満腹になって眠たくなったんだろ」 

 シャルルは反応する。

 「そうだろうね。部屋を覗いてみたら、本を開いたまま眠っていたよ」
 「恥ずかしいでところで見せてしまいましたね」
 「そんなことはないよ」

 シャルルはルーナにいう。

 「そろそろ時間も遅いし屋敷に戻ろうか」
 「そうですね」

 椅子からシャルルが立ち上がった。

 「エミリオ、ルーナを見てくれて感謝するよ」
 「おお。ルーナまた来いよな」

 「はい。エミリオさん、また伺いしますね」

 ルーナは、エミリオに挨拶をする。

 「行こうか。ルーナ」

 シャルルはルーナの手を取ると、煙のように消えてしまいました。
 一人になったエミリオは思いました。
 どうかあの子には幸せであり続けてほしいと……。

 
 屋敷に戻ってきた。

 「ルーナ、もう遅いし、疲れただろう」

 「シャルル様。今連れて行ってくださりありがとうございました。おやすみない」
 「ああ、おやすみ」

 ルーナは、書斎から出ていった。

 シャルルは、一人になったこと確認する。
 あの黒いマント男性について、ある人物に連絡をするため手紙を書き始めた。

 書き終えると、引き出しから蓋のついた木箱を取り出す。

 その中に書いたばかりの手紙を木箱に入れる。

 木箱の蓋を閉める。
 木箱に指を触れると、燃え上がり跡形も無く消えてしまいました。

 この木箱は、魔法界で使われている遠くの人物に手紙を届けるための道具です。

 その頃、ルーナはというと、寝るための準備をしていた。

 その前に日記に記す。

 『久しぶりにエミリオさんにあった。手料理のシェパーズパイを食べた。またエミリオさんに会いに魔法界に行きたい』

 日記を閉じ、ランタンの火を消す。
 ベッドに入ると目を閉じる。



 しばらくしてからルーナの部屋の扉が開いた。
 ルーナが、しっかり眠っているかシャルルが見に来たのです。
 眠っているルーナの姿を確認すると、扉を閉じた。
 そして、自分の寝室へと向かったのでした。

 この日の空に浮かぶ月は、いつになく輝いていたのでした。


 翌朝、いつものように身支度を始める。
 身支度を済ませると、書斎に向かう。

 部屋の前まで着くと、扉をノックする。
 反応がありません。

 おそるおそる扉を開ける。
 しかし、そこにはシャルルの姿はなかった。

 次に寝室に向かう。             
 また扉をノックしますが、反応がありませんでした。

 ルーナは申し訳ない気持ちもありながら部屋の扉を開けました。

 普段、見ることのないシャルルの寝室。
 書斎の部屋のように洗礼されていた。
  
 そして、シャルルの姿はない。
 もう出掛けてしまったのだろうか。
 それにしても、早くに出掛けてしまって寂しい気持ちになる。

 「朝の挨拶したかったのに……」

 階段の段差が見える位置まで来ると、エドモンが上がってくるのが見える。

 「エドモンドさん、おはようございます」
 「ルーナ様、おはようございます」
 「エドモンドさん、シャルル様はもうお出掛けになったのですか?」

 ルーナはエドモンドに尋ねる。

 「はい。今朝早くに出掛けられました」

 「そうでしたか。挨拶をしようと部屋を伺伺うと、姿がなく残念に思っていたのです」
 「そうでございましたか」

 エドモンドとの話しを終えると、中庭に向かう。
 中庭に着くと、空を見上げる。
 鳥のなく声が聞こえる。

 青く染み渡った空の色をしている。
 本日も何事もなく皆が幸せに一日を終えることが出来ますように。
 そう願うのでした。

 そして、今一日が始まっていくのを感じるのでした。

 リリーが作った朝食を一人で済ませる。
 ルーナは、久しぶりに書庫に来ていた。

 編み物に夢中になり、本を読むことが減ってしまっていた。

 でも本というものは、自分がその物語の中に入っているように感じる。
 自分が体験できないことを物語の中で体験しているように感じる。

 教会にいた頃もそうであった。
 現実の世界では、いつも孤独で寂しく。
 なぜ、私はここにいるのだろうと考えしまう。
 だけど、物語の中に入ると本当の自分を忘れることが出来た。

 そんな力を本は持っていると思う。

 でも私にも物語の世界ではなく。
 現実の世界でシャルル様が私のことを見つけてくれた。   
 手を差しのべてくれた。

 あの頃の私は、幸せなど知らずに自分の生涯を終えるのだと思っていた。
 でも、いつも幸せを求めた。
 誰かに愛されたかったかもしれない。
 優しい言葉を掛けてもらいたかったのかもしれない。
 必要もしてくれる人を探していたのだと思う。

 それだけで、生まれた意味が価値があるのだと信じたかったである。
 少なくとも、それほどに自分が想像する以上に愛情に飢えていたのかもしれない。

 それをシャルル様は無条件にくれる。

 生まれて良かったと思えるのである。
 意味が価値があるのだと実感することが出来るのである。

 それだけでとても幸せなのである。

 幸せすぎて時々怖くなるときもある。 
 いつか失くなってしまわないかと思うときがある。

 でも大丈夫。
 そう思えるほどに、シャルル様や皆さんがいるから強くいられる。

 親愛なる主様へ。                
 どうか永遠にあなた様のそばにいれますように。

 そう願わずにはいられなかった。