優等生の僕が、問題児に「つまみ食い」されるまで

 真面目な優等生の僕は、その任務をこなさないといけない。はあ、非常にめんどくさい。
 淡々と伝えると、こいつは静かに聞いていた。素直なのが、少し調子を狂わせてくる。

 まあ数時間だけど、真面目に覚えようとはしていた。まあ、その辺だけは評価してやらないこともない。

「春木って、一口が小さいな」
「バカにしてんのか」
「別に〜そんなに、ツンケンして〜眉間に皺がよってるぞ〜」
「触るな。黙って、食べろ」
「イタイナ〜ちぇ、つまんないの〜」

 僕は静かに、黙って食べていた。好きなアニメを見たいが、こいつに何を言われるか分からない。
 かといって、一度引き受けたことを無碍にはできない。僕って、根っからの優等生なのかもな。

 ご飯を食べていると、こいつが煩い。しかもバカにしてきて、ほんとムカつくな。
 どうせ、僕は体が小さいですよ〜だ。こいつは背が高くて、筋肉質である。

 最近、筋肉モノにハマっている。だから分かるが、こいつの筋肉は本物である。
 体育の時に目に入ってきて、羨ましいと思ったからな。はあ……僕にも、筋肉があればな。

 こんな奴、一瞬で黙らせてやるなのにな。僕の眉間に手を伸ばしてきたため、軽く払い除けた。
 すると棒呼びで痛がっていて、腹が立った。僕みたいな非力で払い除けて、痛いわけあるかよ。

「春木〜何してんの」
「……ふう」
「ねえ〜ってば! あっ、それ……【幕末ドライバー】じゃん」
「知ってるのか」
「ああ、日曜の午後五時からやってるよな」

 ご飯を食べ終え、僕はアニメを見ていた。すると隣から、煩い声が聞こえてくる。
 イヤフォンをしていても、耳障りな声が聞こえてくる。かと言って、音量を上げるのも癪である。

 もしかしたら、他の人に話しかけられるかもだし。まあ、僕たちしかいないけど。
 すると、勝手に人のスマホを覗き込んできた。うざいなと思っていると、このアニメを知っているようだ。

 幕末の志士が、現代でF1ドライバーになる物語だ。子供向けではあるが、歴史も学べる。
 史実を、基づいて再現している。歴史好きからしてみれば、至高作品である。

 僕の推しは、土方歳三なんだよね。綺麗な黒髪は、同性から見てもうっとりしてしまう。
 僕は新撰組が好きなため、非常に嬉しい。やっぱり、新撰組の題材にしているものはハズレがない。

 そのような素晴らしい作品で、大人も子供も楽しめる。こいつの言う通り、アニメの二期が日曜日に放送している。

 来月には、初のテレビゲームが発売される。僕はそのゲームが欲しいため、バイトに明け暮れている。

「ふう〜ん……【私のチームに入れば、必ず天下を取れるぞ】」
「【断る。俺は、誰の下にも付かない】」
「【強情な奴め! 後悔するぞ】」
「【後悔するのは、果たして……どちらかな】くう〜かっこよかったな!」
「あの後、新撰組が一致団結して勝利するんだよね!」
「白熱したレースで、手に汗握ったよな!」
「やっぱり、土方さんが最高に男前なんだよね!」
「それもだけどな。俺としては、いつも毛嫌いしている沖田が手を差し出したとこだよな」
「分かる! 拳と拳と合わせて、何も言わずに見つめ合うんだよね!」

 知っていると豪語するなら、セリフぐらい言えるよね。この前の話は、いつも以上に白熱したからね。
 長編で、土方さんと沖田くんの友情ものだった。世間では、BLだと騒がれていたっけ。

 まあ、否定はしないが違うと思いたい。まあ、作者がBL同人誌を書いている人だからね。
 まあ、少なくとも入っているだろう。それはさておくとして、こいつ思っていた以上に詳しいな。

 僕が思っているような悪い奴じゃないのかもな。新撰組好きに、悪い奴はいないからな!

「お前、詳しいな」
「俺は基本的に、全部のアニメを見ているからな」
「マジか! 今季は名作揃いだからな!」
「ああ、二期や七期の作品までもあるからな」
「くう〜知ってたら、もっと早くアニメの話をしたかったな!」

 異様に詳しいため、思っていることを聞いてみる。すると僕と同じぐらいに、オタクらしい。
 アニメ全制覇は、簡単にできるものではない。僕ですら、少しだけ見ていない作品がある。

 まあ、録画してディスクに保存済みだけど。もっと見たいが、バイトの方を優先したい。
 その方が、未来の自分が喜ぶからだ。アニメは少し遅くなっても、支障はない。

 しかしゲームは、一秒でも早くやりたいからな。僕にはその使命があって、誰にも止められないのだ。
 それにしても、こいつがこんなにアニメが好きだなんてな。意外なところに、同志がいたものだ。
 こいつの素行は嫌いだが、オタクは全人類皆家族だ。オタクというだけで、親近感が湧くな。

「近いぞ」
「あっ、ごめん」
「お前って、笑うと可愛いんだな」
「可愛いって言われても、嬉しくない」
「ツンデレってやつか」
「僕は黄金比じゃないから、違う」
「うわ〜真顔〜草〜」

 気がつくと、至近距離にいたらしい。嬉しすぎて、前のめりになってしまったらしい。
 こいつに言われるまで、気が付かなかった。何故か、こいつの顔が赤いのは熱いからだろう。

 ここのクーラー壊れていて、来週に取り替えになるって聞いたからな。
 急いで離れると、可愛いと言われてしまった。こいつの目は、おかしいのだろうか。

 元々おかしいため、今更か。しかもツンデレとか、ほざいている。
 ツンデレの黄金比は、七対三である。こいつに対してのデレは、マイナスのため合致しない。

 真顔で伝えると、草〜と言っていた。微妙に使い方が違う気がするが、気にしないことにしよう。

「ゴホンッ……大事な話がある」
「なんだ。愛の告白なら、いつでもウェルカ」
「煩い、黙れ。バイトの件、黙っていろ。仕方ないから、僕も黙っておく」
「うわ〜超、上から目線」

 休憩時間が、後十分しかない。そのため、非常に大事なことを話し合おうと思った。
 それなのに、ふざけたことをほざいている。お前なんかに、愛の告白をすることは絶対にない。