【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~戦闘力ゼロの追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と送る甘々ライフ~

「レオン……大丈夫?」

「ご、ごめんなさい、私……」

 ルナが申し訳なさそうに、レオンの顔を覗き込んでくる。

 さっきまでの怒りはどこへやら、今は純粋に心配している表情だった。

 緋色の瞳が、不安そうに揺れている。

 レオンはにっこりとほほ笑みながら、心配そうに見つめてくる四人の美少女を見回した。

 エリナの黒曜石のような瞳。

 ミーシャの空色の瞳。

 ルナの緋色の瞳。

 シエルの碧眼。

 四人四様の美しさが、湯気の中に浮かび上がっている。

 それぞれが違う色、違う輝きを持ち、それぞれが違う魅力を放っている。

 そして、その全てがレオンを心配し、レオンを想っている。

「胸のサイズなんてどうでもいいんだよ。みんな、一人一人、眩しいくらい素敵なんだ……」

 心の底からの言葉が、自然と口をついて出た。

 お世辞ではない。本心である。

 自分のことを考えてくれる四人の全てが、レオンにとってかけがえのない宝物だった。

「え?」
「あら……」
「ほ、本当……?」

 頬を赤らめる女の子たち。

 それぞれが、嬉しそうに、恥ずかしそうに、照れくさそうに微笑んでいる。

 しかし、ミーシャだけは眉をひそめ、ガシッとシャワーヘッドを(つか)んだ。

「何をそんな優等生っぽいこと言ってんのよ! この(たら)しがぁぁ!」

 なんと、ミーシャはシャワーを最大出力でレオンの顔にぶっかけた。

「ぶはぁ!!」

「ダメよ! 何してるのよぉ!」

「そうよ、せっかく【素敵】って言ってくれてるのにぃ」

 他の子は慌てて制止する。

「あんたたちは本当にチョロいわねぇ!」

 ミーシャが呆れたように言う。

 しかし、その頬もほんのり赤く染まっているのは、本当は彼女も嬉しかったからだろう。

「チョロくたっていいの! シャワーを渡しなさい!」

 エリナがミーシャの腕を引っ張る。

「止めてよぉ!」

「危ない! 危ないって! 落ち着いて! ぶはぁ!!」

「何すんのよぉ!」
「キャァ! 冷たいって!!」
「ミーシャ! ダメってばぁ!」

 四人がもみ合いになって、エリナがミーシャのシャワーヘッドを奪った時だった――。

 つるっ。

 エリナの足が舞い上がる。

 大理石の床は滑りやすかった。

「おわぁ!」
「ひゃぁ!」
「ちょっともぉ!」
「いやぁぁぁ!」

 四人は折り重なるようにレオンの上に倒れこんだ。

 ドサ、ドサッ!

 鈍い音と共に、レオンの体に四人分の柔らかな重みが一気に圧し掛かる。

 甘い香り。
 濡れた髪。
 温かな体温。
 そして少女たちの柔肌――。

 エリナの黒髪がレオンの顔にかかり、ミーシャの金髪が胸元に絡みつく。

 ルナの赤い髪が頬をくすぐり、シエルの銀髪が肩に触れる。

 全身のあらゆる場所から、名状しがたい柔らかな感触が押し寄せてくる。

 右腕には誰かの胸が。左腕には誰かの(もも)が。腹部には誰かの体重が。

 これは――これは――。

(なんで、こんなことになってるの……僕?)

 あまりの刺激の強さに、レオンは鼻血をブフっと吹くと、意識が徐々に薄らいでいった。

 視界が白く霞んでいく。

 耳鳴りがする。

 心臓が、今度こそ本当に止まりそうだ――。

「レオン!?」
「し、しっかりして!」
「大丈夫!?」
「ダメ! ヒールよ! ヒールかけて!!」

 少女たちの心配そうな声が、遠くから聞こえてくる。

 しかし、その声すらも、次第に遠ざかっていく――。


       ◇


 ――その後、レオンは少女たちに介抱され、何とか意識を取り戻した。

 スキルは失った。

 けれど、こんな風に自分を心配してくれる仲間がいる。

 それだけで、レオンは十分に幸せだと思えた。

 賑やかで、騒がしくて、落ち着かない日常。

 心臓に悪いことばかりで、理性を保つのに必死で、いつ倒れてもおかしくない毎日。

 けれど、これこそが――レオンが守りたいと願った、大切な仲間との時間なのだ。

 失われた運命を嘆くより、今ここにある絆を大切にしよう。

 スキルがなくても、彼女たちと一緒にいられるなら、それでいい。

 レオンは、そう心に誓った。

 少女たちの(かしま)しい笑い声と、レオンの悲鳴で彩られた新生活――。

 スキルを失った軍師と、彼を慕う四人の少女たちの、新たな物語が始まろうとしていた。

 窓の外では、夕焼けが夜の帳に変わろうとしている。

 一番星が、そっと瞬いていた。

 明日も、きっと騒がしい一日になるだろう。

 けれど、それでいい。

 この温かさが、この絆が――レオンの新たな力になる。

 砕けた運命の先に、新たな希望が芽生えようとしていた――。