「え? そうなの? じゃあ私……」
ルナが自分の胸元を見下ろし、明らかに落ち込んだ表情を浮かべる。
バスタオルの上から、そっと自分の体を確認するような仕草。
その小さな手が、何とも切なげに見えた。
「そ、そんな胸のサイズなんて意識したことないって! 本当だよ!」
レオンは慌てて否定する。
胸の好み一つで不和を生んではならないのだ。
「ほ、本当なの? 男の人って……そういうの、好き……なんでしょ?」
エリナが顔を真っ赤にして、自分の胸を両手で押さえながら尋ねてくる。
その瞳は不安と期待が入り混じった、複雑な光を湛えていた。
凛とした剣士の彼女でさえ、こういう話題では一人の不安な少女になってしまう。
「そ、そういう人も多いけどね。でも僕は、そんなことにこだわらないよ! 人間は中身が大事だから!」
「あらあら、嘘ばっかり。男性は皆、大きい方がお好きなくせに」
ミーシャは意地悪な笑みを浮かべ、バシャッとお湯をレオンの背中にかけた。
その容赦のない突っ込みに、レオンは思わず背筋を伸ばした。
「ち、違うわよね! 性格が大事……よね?! その人の、心の優しさとか、強さとか、そういうのが……ね!?」
シエルが慌ててフォローに入る。
その必死さは、理想のレオン像を守ろうとしているからだろうか?
「そ、そうだよ! 僕は断然、性格重視だから! 優しくて、誠実で、仲間想いで……」
レオンも必死に同意する。
胸の好みなどどう言っても地獄にしかならないのだ。
しかし、ミーシャは容赦なく、最も答えづらい質問を投げかけてきた。
「ふーん。じゃぁ、ルナのでもいいのね?」
レオンの思考が停止する。
(これ、どう答えればいいんだ……!?)
彼女を傷つけない答え方とは何か――?
時間をかけてはならない。レオンは覚悟を決めて口を開く。
「そ、そりゃあルナは……あれくらいあればばっちり素敵だと思うよ? う、うん!」
瞬間――。
「『あれくらい』って何よ!? ばっちり見えてたんじゃないのよぉぉぉぉ!!」
ルナの絶叫が浴室に響き渡った。
彼女の全身から、炎の魔力が溢れ出す。
赤い髪が逆立ち、緋色の瞳が怒りと羞恥で燃え上がる。
その姿は、まるで怒れる炎の精霊のようだった。
――竜殺しの魔力。
規格外の火力を秘めた、彼女の潜在能力が暴走しかけている。
「嘘つきぃぃぃ! スケベぇぇぇ!」
ルナの魔力が湯船のお湯に伝わり、ボコボコボコッ! と激しく沸騰し始める。
「ひぃぃぃ! タンマタンマ! 熱い! 熱いってばぁ!」
レオンは必死に逃げようとするが、まだ立てないし、狭い湯船の中では逃げ場がない。
熱湯がレオンの体を容赦なく襲う。肌がヒリヒリと痛む。
これは、本当にまずい――。
「あちちちち!」
「ちょっと止めて! 火傷しちゃう!」
「何すんのよぉ! 私まで巻き込まないでよぉ!」
エリナ、ミーシャ、シエルも慌てて湯船から飛び出し、逃げ惑う。
「ルナ! 落ち着いて! 魔力を抑えて!」
エリナが必死に呼びかけるが、ルナの耳には届いていないようだった。
怒りと羞恥で我を忘れた少女は、もはや制御不能だった。
「レオンのエッチ! スケベ! 見といて誤魔化そうとして! 許さない!」
「ご、誤魔化してないって! 本当に素敵だと思ったんだってば!」
「そうじゃないでしょぉぉぉぉ!」
「落ち着いて!」
「レオンゆだっちゃうよ!」「水、水ぅ!!」
結局、シエルとエリナが慌てて水のシャワーを全開にして、ルナに派手に浴びせかけることで、ようやく事態は収束した。
ジャーッという水音が浴室に響き渡る。
冷水を浴びたルナの魔力が、シューッという音と共に徐々に収まっていった。
赤い髪が元に戻り、緋色の瞳から怒りの炎が消えていく。
湯温も下がり、浴室に平穏が戻った――かと思われたが。
「あぁ、レオンがのぼせてる!」
「引き揚げなきゃ!」
レオンはのぼせてもうろうとしているところを、ミーシャたちに引き上げられた。
全身が火照り、意識が朦朧としている。
ただ、のぼせたおかげで生理現象も収まっていたので、大事は免れた。
あられもない姿を見せてしまったら事案になってしまう。
「はぁ……はぁ……もう、勘弁してよ……」
冷水をシャワーでかけてもらいながら、レオンは大きくため息をついた。
この時、冷水の冷たさがレオンの身体にほんわりとした感覚をもたらしてくる。
極限まで熱せられた体に、冷たい水が心地よく染み渡っていく。
いわゆるサウナの後の【整った】という状態だった。
今まであったことが、全て遠くの出来事のように感じられる。
大宇宙の中のちっぽけな自分――。
スキルが壊れたこともなんだか些細なことに感じられる。
人生はまだまだこれからなのだ。
こんなに可愛い仲間に大切にされて囲まれて、一体何の不満があるのだろう――?
朦朧とした意識の中で、レオンはそんなことを考えていた。
ルナが自分の胸元を見下ろし、明らかに落ち込んだ表情を浮かべる。
バスタオルの上から、そっと自分の体を確認するような仕草。
その小さな手が、何とも切なげに見えた。
「そ、そんな胸のサイズなんて意識したことないって! 本当だよ!」
レオンは慌てて否定する。
胸の好み一つで不和を生んではならないのだ。
「ほ、本当なの? 男の人って……そういうの、好き……なんでしょ?」
エリナが顔を真っ赤にして、自分の胸を両手で押さえながら尋ねてくる。
その瞳は不安と期待が入り混じった、複雑な光を湛えていた。
凛とした剣士の彼女でさえ、こういう話題では一人の不安な少女になってしまう。
「そ、そういう人も多いけどね。でも僕は、そんなことにこだわらないよ! 人間は中身が大事だから!」
「あらあら、嘘ばっかり。男性は皆、大きい方がお好きなくせに」
ミーシャは意地悪な笑みを浮かべ、バシャッとお湯をレオンの背中にかけた。
その容赦のない突っ込みに、レオンは思わず背筋を伸ばした。
「ち、違うわよね! 性格が大事……よね?! その人の、心の優しさとか、強さとか、そういうのが……ね!?」
シエルが慌ててフォローに入る。
その必死さは、理想のレオン像を守ろうとしているからだろうか?
「そ、そうだよ! 僕は断然、性格重視だから! 優しくて、誠実で、仲間想いで……」
レオンも必死に同意する。
胸の好みなどどう言っても地獄にしかならないのだ。
しかし、ミーシャは容赦なく、最も答えづらい質問を投げかけてきた。
「ふーん。じゃぁ、ルナのでもいいのね?」
レオンの思考が停止する。
(これ、どう答えればいいんだ……!?)
彼女を傷つけない答え方とは何か――?
時間をかけてはならない。レオンは覚悟を決めて口を開く。
「そ、そりゃあルナは……あれくらいあればばっちり素敵だと思うよ? う、うん!」
瞬間――。
「『あれくらい』って何よ!? ばっちり見えてたんじゃないのよぉぉぉぉ!!」
ルナの絶叫が浴室に響き渡った。
彼女の全身から、炎の魔力が溢れ出す。
赤い髪が逆立ち、緋色の瞳が怒りと羞恥で燃え上がる。
その姿は、まるで怒れる炎の精霊のようだった。
――竜殺しの魔力。
規格外の火力を秘めた、彼女の潜在能力が暴走しかけている。
「嘘つきぃぃぃ! スケベぇぇぇ!」
ルナの魔力が湯船のお湯に伝わり、ボコボコボコッ! と激しく沸騰し始める。
「ひぃぃぃ! タンマタンマ! 熱い! 熱いってばぁ!」
レオンは必死に逃げようとするが、まだ立てないし、狭い湯船の中では逃げ場がない。
熱湯がレオンの体を容赦なく襲う。肌がヒリヒリと痛む。
これは、本当にまずい――。
「あちちちち!」
「ちょっと止めて! 火傷しちゃう!」
「何すんのよぉ! 私まで巻き込まないでよぉ!」
エリナ、ミーシャ、シエルも慌てて湯船から飛び出し、逃げ惑う。
「ルナ! 落ち着いて! 魔力を抑えて!」
エリナが必死に呼びかけるが、ルナの耳には届いていないようだった。
怒りと羞恥で我を忘れた少女は、もはや制御不能だった。
「レオンのエッチ! スケベ! 見といて誤魔化そうとして! 許さない!」
「ご、誤魔化してないって! 本当に素敵だと思ったんだってば!」
「そうじゃないでしょぉぉぉぉ!」
「落ち着いて!」
「レオンゆだっちゃうよ!」「水、水ぅ!!」
結局、シエルとエリナが慌てて水のシャワーを全開にして、ルナに派手に浴びせかけることで、ようやく事態は収束した。
ジャーッという水音が浴室に響き渡る。
冷水を浴びたルナの魔力が、シューッという音と共に徐々に収まっていった。
赤い髪が元に戻り、緋色の瞳から怒りの炎が消えていく。
湯温も下がり、浴室に平穏が戻った――かと思われたが。
「あぁ、レオンがのぼせてる!」
「引き揚げなきゃ!」
レオンはのぼせてもうろうとしているところを、ミーシャたちに引き上げられた。
全身が火照り、意識が朦朧としている。
ただ、のぼせたおかげで生理現象も収まっていたので、大事は免れた。
あられもない姿を見せてしまったら事案になってしまう。
「はぁ……はぁ……もう、勘弁してよ……」
冷水をシャワーでかけてもらいながら、レオンは大きくため息をついた。
この時、冷水の冷たさがレオンの身体にほんわりとした感覚をもたらしてくる。
極限まで熱せられた体に、冷たい水が心地よく染み渡っていく。
いわゆるサウナの後の【整った】という状態だった。
今まであったことが、全て遠くの出来事のように感じられる。
大宇宙の中のちっぽけな自分――。
スキルが壊れたこともなんだか些細なことに感じられる。
人生はまだまだこれからなのだ。
こんなに可愛い仲間に大切にされて囲まれて、一体何の不満があるのだろう――?
朦朧とした意識の中で、レオンはそんなことを考えていた。



