【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~戦闘力ゼロの追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と送る甘々ライフ~

「レ、レオン……貴様、何のつもりだ……!」

 カインの声が震える。

 かつて自分が一方的に蹂躙した男が、今では堂々と自分の前に立っている。

 クズが自分に逆らっている。

 その事実が、カインの心を揺さぶった。

「襲撃の件、罪を認めて自首しろ。そうすれば、まだ刑は軽くなる」

 レオンの言葉に、カインの顔が歪む。

「ハハハハハ! 何を言ってるんだ! 証拠があるのか? こいつらが勝手にやったことだ! 俺は何も知らん!」

 カインは高笑いする。その声には、狂気が滲んでいた。

「酷いっす! あっしには襲わせる理由などないっす! そんな大金もないっす!」

 ガンツは必死に反論する。その声には、切り捨てられた悲哀が滲んでいた。

 道具として使われ、用が済んだら捨てられる。それがカインという男なのだ。

「しらを切るな! そんなの調べれば全部わかるぞ?」

 レオンはカインをにらみつけた。

「ふんっ! たまたま火山が噴火しただけで英雄気取りか? しょぼい小娘(たら)し込んでいいご身分だな、この無能が!」

 カインの言葉に、レオンの頬がピクっと動く。

 自分への侮辱は、もう慣れた。

 だが、彼女たちへの侮辱は、許さない。

「彼女たちを侮辱するな! 若いがみんな自立した一流の冒険者なんだぞ!」

 レオンの声が、夜の空気を震わせる。

「そうよ!」

 ルナが杖を構えた。その緋色の瞳に、炎が揺らめく。

「なめないで!」

 シエルが弓に矢をつがえた。碧眼が、鋭く狙いを定める。

「この悪党!」

 エリナが剣を抜いた。黒曜石のような瞳に、冷たい怒りが燃えている。

「泣いて謝らせてあげるわ……」

 ミーシャのロッドが、金色に輝く。空色の瞳が、危険な光を宿していた。

 四人の少女たちが、武器を構える。

 その姿は、まさに戦場の女神たちだった。


       ◇


「一流? こんな小娘たちが? お前ら風情がこの俺様にかなうとでも思ってんのか? あぁ?」

 カインは目玉をひん剥き、レオンを威嚇する。その表情には、もはや理性などなかった。

 追い詰められた獣のような、狂気じみた目。

 しかし、レオンは一歩も引かない。

「自首しないなら、実力行使しかないぞ?」

「バーーカ! お前らなんかに負けるかよ!!」

 カインは叫ぶと、懐から邪龍の宝玉を取り出し、レオンの足元に投げつけた。

 ガシャン!

 宝玉が石畳に当たり、砕け散る。その破片が、月明かりを反射してキラキラと輝いた。まるで、星が地に落ちたかのように。

 刹那、中から何か巨大なものがブワっと飛び出し、宙に飛び上がった。

 ギャォォォォォ!

 上空で咆哮する邪龍。

 その威圧感は、まさに伝説級(レジェンド)の魔獣だった。

 全長十メートルを超える巨体。鋼鉄のような鱗。鋭い爪。そして口から漏れる炎。

 その熱気だけで周囲の空気が歪み、石畳がひび割れていく。

 ギャハハハ!

 カインの哄笑(こうしょう)が、夜の屋敷に木霊する。

「さぁ、お前らを焼き尽くしてやる! 死人に口なしだ! キャハハハ!」

 その表情には、もはや理性のかけらもなかった。

 狂気と歓喜が入り混じり、瞳孔は異様に開き、口の端からは(よだれ)すら垂れている。

 禁忌の宝玉から解き放たれた邪龍は、咆哮と共に大気を震わせた。

 スタンピードで見た魔獣たちとは比べ物にならない、圧倒的な存在感。鱗の一枚一枚が灼熱の光を宿し、吐き出される熱気だけで周囲の草木が焦げ、石畳が僅かに溶けていく。

 普通なら、逃げ出すのが正解だろう。

 だが――。

「バカねぇ」

 ルナが、呆れたように一言つぶやいた。

 その声には、憐憫すら滲んでいた。

 先日前まで自らの魔力に怯え、震えていた少女の面影は、もうそこにはなかった。

 紅い瞳が、冷たい光を宿す。

 杖を、すうっと、まるでダンスでも踊るように優雅に振り上げた。

 完璧に制御された魔力が一気に噴き出し、空気を震わせる。

 次の瞬間――。

 ゴォォォォォッ!

 世界が、紅に染まった。

 巨大な炎の竜巻が、天を衝く勢いで湧き上がる。

 その炎は、まるで意志を持った生き物のように螺旋を描き、カインの龍を包み込んだ。

 その灼熱の温度は、邪龍の炎など比べ物にならない。

 これこそが、竜殺(ドラゴンスレイヤー)の名を冠する魔力。

 伝説の龍さえも灰燼に帰す、絶対の炎。

 ギョワァァァァァッ!

 邪龍の断末魔が、夜空を引き裂く。

 邪龍の影が、みるみる薄くなっていった。形が崩れ、輪郭が溶け、やがて炎が消えた時、そこには何も――なかった。

 灰すら残さず、邪龍は完全に消滅してしまったのだ。

 後には焦げた臭いだけしか残っていない。

「な……なん、だと……!?」

 カインの顔から、血の気が引いた。

 信じられない、という言葉では足りない。

 目の前で起きた現象が、彼の理解を完全に超えていた。

 あれほどの魔物を、あの小娘が、あんな簡単に――?

 膝が、震える。