【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~戦闘力ゼロの追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と送る甘々ライフ~

 四人とも、手には色とりどりの花束、ブーケが握られていた。白い薔薇、ピンクの芍薬、紫のラベンダー、青いデルフィニウム。それぞれの個性を映し出すような美しい花々が、彼女たちの美しさにさらなる彩りを添えている。

 レオンはふと自分の姿を見下ろして絶句した。白いタキシード。銀糸で刺繍された豪華なジャケット。胸元には深紅の薔薇のコサージュ。それは王族の結婚式にふさわしい正装だった。

「結婚! おめでとーう!」

 シアンが満面の笑みで両腕を大きく広げ、祝福する。

「あ、ありがとうございます」

 レオンはまだ状況に追いついていなかった。さっきまで焼け野原での国づくりの話をしていたはずなのに、気がつけば結婚式の衣装を着せられている。熾天使の気まぐれは本当に予測がつかない。

「そしたら記念撮影と行きますか! ハーイ! こっち向いてー!」

 シアンが見慣れない薄い黒い板のようなものを構えた。その背面に光る窓のようなものがあるが、魔道具ではない。どういう仕組みかは分からないが、この板でこの光景を描き取るらしい。

「はい、笑ってー!」

 しかしみんな慣れない状況に表情が硬い。エリナは照れくさそうに視線を泳がせ、ミーシャは微笑んではいるがどこかぎこちない。ルナは顔を真っ赤にして俯き、シエルは緊張で肩に力が入っている。

 シアンは顔をしかめ、口を尖らせた。

「おーい、キミたち、結婚したんでしょ? 幸せなんでしょ?」

 みんな顔を見合わせる。どういう顔をしたらいいのかピンとこないのだ。

「じゃあ聞くけど、キミたち子供何人作るの?」

 シアンはニヤリと悪戯っぽい笑みを浮かべた。

「へっ!?」「そ、それは……」

 視線が一斉にレオンに集まった。四人の花嫁の視線がまっすぐに彼を貫いている。期待と恥じらいと、そしてほんの少しの挑発がその瞳に宿っていた。

 レオンは顔を真っ赤にしながらしどろもどろに答えた。

「そ、そんなこといきなり聞かれても……ねぇ」

「私は三人!」

 シエルが凛とした声で宣言した。その碧眼が真剣に輝いている。

「なら四人よ!」

 ルナが負けじと声を張り上げた。

「あらあら、なら私は十人……ね。ふふっ」

 ミーシャがいつもの微笑みを浮かべながら言った。その言葉が本気なのか冗談なのか、誰にも分からない。

「じゅっ、十人!? じゃ、じゃあ私は二十人なんだから!」

 エリナは目をぎゅっとつぶると言い切った。その声には珍しく子供っぽい対抗心が滲んでいる。普段は冷静沈着な彼女のこんな一面を見るのは初めてで、レオンは思わず頬が緩んだ。

「きゃははは! いいじゃない、一族繁栄だわ!」

 シアンの笑いにつられてみんな一斉に笑う。緊張が一気にほぐれていく。夜空の下、五人の笑い声が響き渡る。

 みんな幸せだった。こんなにも幸せだった。

 絶望に突き落とされた中からつかみ取った幸せ。追放され、裏切られ、命を狙われ、それでも諦めずに進んできた。その果てに待っていたのがこの瞬間だった。今こうして大切な人たちと一緒に笑い合っている。それだけで、みんな胸がいっぱいだった。

 涙が出そうになる。けれどそれは悲しみの涙ではない。喜びの、感謝の、幸福の涙だ。

「おぉ、いいねいいね! はいチーズ!」

 パシャーーッ!

 軽やかな音が響いた。その瞬間、五人の幸せな笑顔が永遠に切り取られた。

「おぉいい笑顔だ。ほら」

 シアンはその不思議な板の画面をみんなに見せて微笑む。

「えっ! こんな風に……写るんですね……」

 レオンは初めて見た「写真」を感慨深そうに見入った。そこには今まさにこの瞬間の自分たちが生き生きと描き出されていた。

「ふふーん。後で額に入れてプレゼントするよ」

「へっ!? そ、それは嬉しいです!」

 レオンは目を輝かせた。

「うわぁ!」「楽しみ!」

 少女たちの声が嬉しそうに弾む。

 思い出の瞬間に、美しく正装した集合写真。これはきっと一生の宝物になるだろう。どんなに辛いことがあっても、この瞬間を思い出せばまた前を向けるに違いない。

 東京の夜景がキラキラと輝く中、五人は肩を寄せ合って笑っていた。落ちこぼれたちの、小さな、けれど確かな幸せ。それは今夜、大アルカナ王国という名前を得て、歴史の一歩を踏み出したのだった。


      ◇


「さて、お腹空いたわねぇ。何食べたい?」

 シアンはニコニコしながらみんなを見回した。

 その問いかけに。

「肉ーーッ!」

 ルナは勢いよく腕を突き上げた。ウェディングドレス姿でまるで戦士のような雄叫び。そのギャップがどうしようもなく可愛らしかった。

「私もー!」

 シエルも嬉しそうに同意した。お嬢様育ちのはずなのに、その目は完全に肉を欲していた。上品な令嬢の仮面の下には、食欲旺盛な若者の顔が隠れている。

「なら、和牛が……」

 エリナはちょっと気が引けながら言った。前世では大好物だった、あの美味しい霜降り肉の記憶が蘇ったのだろう。

「きゃははは! みんな若いねぇ。じゃぁいつもの焼肉屋にするかな」

 シアンは楽しそうに笑った。