【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~戦闘力ゼロの追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と送る甘々ライフ~

 三体の狂信者が、次々と崩れ落ちていく。

「グギャァァァ!」「ギィィィ!」「ガアアアッ!」

 断末魔の悲鳴が、古代の遺跡に響き渡る――。

 それは人間の声ではない。獣の声でもない。何か、地獄の底から響いてくるような呪われた声。

 崩れ落ちた狂信者たちの体から黒い霧が立ち上り、まるで魂が抜けていくかのように、空気に溶けて消えていく。寄生体が、宿主と共に死んでいったのだ。

 やがて、三体の体は動かなくなった。ただの肉塊となって、地面に横たわっている。

 静寂が戻り、風の音だけが聞こえる。

「はぁ……はぁ……」

 エリナが、荒い息をしながら剣を下ろす。その刃には、黒い液体が付着している。血ではない。もっと不気味な、何か別の液体。触れるのも(はばか)られる。

「大丈夫? エリナ……」

 駆けつけたレオンが、心配そうに尋ねる。

「うん……なんとか」

 エリナが、草で剣の刃を拭き、鞘に収める。その手が、少し震えている。

「でも……気持ち悪かった。あれ、本当に人間だったの……?」

 その声には、嫌悪と悲しみが混じっている。あんなものを斬らなければならなかったことへの、深い悲しみ。

「もう、人間じゃなかったんだと思うわ……」

 ミーシャが、静かに言った。

「寄生体に、完全に乗っ取られて……魂も、心も、もう何も残っていなかったんだわ……」

 五人の間に、重い空気が流れる。

 誰も、言葉を発することができない。憎むべき敵ではあるが、同時に悲しき被害者ともいえるかもしれないのだ。一体敵は何をやろうとしているのか――――?

 けれど、立ち止まってはいられない。

「……行こう」

 遺跡の奥を見据え、レオンが静かに、けれど確固とした意志で言った。

「まだ、先がある。あの女を倒すまでは終わらない」

 四人が、うなずく。

 今は、戦わなければならない。

 五人は、崖の中腹に開いた苔むした古代遺跡の入り口へと進み始めた。

 その入り口は、まるで巨大な獣の顎のようにアルカナ一行を待ち構えている。

 暗く、冷たい空気を吐き出し、まるで奈落への入り口のように感じられた。

 けれど、五人は躊躇しない。

 最終決戦の地へと、進んでいく。


       ◇


 入り口には、かつて神聖な場所であったことを物語る、精緻な彫刻が刻まれた大理石のアーチがあった。しかし、今はその彫刻の多くが削り取られ、代わりに不気味な紋章が刻まれている。あの鷲の紋章が。

 アーチをくぐると、内部へと続く階段が下へ、下へと伸びていた。松明の光だけが、その暗闇を照らしている。

 レオンが顔をしかめ――小さく呟いた。

「行くぞ……」

 女の子たちは口を結び、うなずくと、一歩一歩、レオンについて慎重に階段を降りていく。

 徐々に冷え、湿気が増してカビ臭い匂いが鼻につく。そして、何か別の匂いも混じっている。血の匂い。腐敗した肉の匂い。それらが混ざり合い、吐き気を催すような悪臭となって一行を包み込む――。

 しかし、誰も何も言わなかった。

 全員感覚を研ぎ澄まし、敵の次の一手を逃すまいとアンテナを張り巡らしていたのだ。


        ◇


 階段を降り切ると、長い回廊が続いていた。

 そこは、かつては美しく神聖な場所だっただろう空間だった。

 壁には、色褪せてはいるものの、壁画が残っている。金箔で縁取られた繊細な絵。神々の姿が、威厳に満ちた表情で天を見上げ、青い髪の天使が純白の翼を広げて舞っている。

 それは、信仰と祈りに満ちた、神聖な場所の面影。

 けれど――。

 今、その美しさは汚されていた。

 壁画の上には、奇妙な魔法陣が無数に描かれている。黒い塗料で乱暴に。そして、その魔法陣からは、不気味な魔力が漂っている。触れれば呪われそうな、邪悪な力。

 床を見れば――。

 血で書かれた文字が、びっしりと並んでいる。

 それは判読できないが何かを呼び出すためか――あるいは何かを封じるための、呪文なのだろう。

 神聖と邪悪が、歪に混ざり合った回廊。

 それは、見ているだけで精神が蝕まれそうな、おぞましい光景だった。

「気持ち悪い……」

 ルナが、思わず顔をしかめた。その小さな体が、嫌悪で震えている。

「こんなの……神への冒涜だわ……」

 ミーシャが、悲しげに呟いた。その目には、涙が浮かんでいる。神聖な場所が、ここまで汚され、祈りの場が、呪いの場に変えられていることは、教会の孤児院で生まれ育った彼女にとって耐え難いものだった。

 その時だった――。

「「「アアアアアア……」」」

 突然、不協和音の歌声が響き渡った。

 それは回廊の奥から、いや、壁の向こうから、上から下から、四方八方から響いてくるかのよう。まるで、回廊全体が歌っているかのように聞こえた。