__どうして俺は、いつもこうなんだろう

 心臓が締め付けられるみたいに痛い
 喉の奥に鉛の塊が詰まったみたいで、言いたいことが一つも外に出てこない
 クラスのグループワークでも、昼休みに何を食べるか決める時でも、俺の口から出る言葉はいつも同じだ
「なんでもいいよ」
「任せるよ」
 俺の口癖だ。そして、それは俺にとってのお守りだった
 でも、みんなが笑って、その場の空気が丸く収まるのを見届けながら、俺は心の隅でいつも自分を呪っている
 俺の「なんでもいい」は、本当は「どれも嫌だ」とか「俺はこれがいいのに」の裏返しだ。ただ、それを口にして、誰か一人でも顔を曇らせるのが怖くてたまらない
 過去に一度、自分の気持ちを信じて行動した結果、教室の空気から浮いて、針の(むしろ)に座らされた経験があるから
 
「そんなんで本当にお前は幸せなのかよ」
 あいつの言葉は、俺の築いた安全なガラスの檻に、初めてひびを入れた。その問いに、俺は答えられない
 幸せ
 少し考えたら、すぐに答えは出てくる。だからこそ、苦しくて言えなかった