「早瀬……」

 俺はもう、早瀬と会えないのか……? 早瀬が死ぬと分かっているのに、もうそばにはいられないのか……?
 どうしてーーー。

 そばにいたいのに、そばにはいられないなんて……そんなのは辛すぎる。
 俺は早瀬のそばで、早瀬の残り少ない時間を一緒に過ごしたいんだ。
 早瀬が例えイヤだと言っても、絶対にそうしたい。そう思っていたのにーーー。

「クソッ……」

 早瀬に会いたい。そう思うのに、どうしたらいいのか分からないままだ。
 一体、どうしたらいいんだ……。

 俺は近くの病院を探し、片っ端から電話をかけた。少しでも早く、早瀬のことを見つけたくて。
 
「すみません、あの……そちらに、早瀬秋音という女性が、入院していませんでしょうか?」

「早瀬秋音さん、ですか?……少々、お待ちください」

 何件か電話したけど、なかなか早瀬は見つからなかった。

「一体、どこにいるんだ……」

 早瀬……会いたい。 会いたいよ、早瀬……。

 早瀬に会いたいのに、会えないもどかしさが募っていくばかりで、心が苦しくなる。
 
 それから、何日か経過した時のことだった。

「朔月くん……!」

 仕事中、店長が俺の所に駆け寄ってきた。

「店長? どうしました?」

 店長は俺の手を掴むと、「は、早瀬さんが……!」と口にした。