助手席の窓を薄く開ける。

高速なので、結構な強風が車内に飛び込んでくる。

ぶぶぶぶぶ
と大きな風の音も。


「手ぇ出すなよ」


部長が風の音に負けないように声を張った。


「出しませんよ!」


子どもじゃあるまいし。
私も負けじと声を張った。

まだ、気持ち悪い時もあるし、窓を開けた方が気が楽なんだもん。


関越道は空いていて、スムーズだ。
この調子ならあと一時間半で到着ってところだろう。

私たちは私の実家に向かっている。

結婚のご挨拶のために。