「遥に暴力を振るった事は……謝るから。お願い、ひとりにしておいて……」


本当は、振り返って、高広の胸に飛び込みたい。


例え、私の事を忘れていても、その後、高広に突き飛ばされてもいい。


だけど、私は美紀と約束してしまったから、振り返る事ができない。


それに、もう逃げるつもりもないから。


「それはできねぇな。ずっと探してたんだ。それじゃあ、俺の気が済まねぇんだよ!」


やっぱり……遥の事が大切なんだね。


そんなの嫌だよ。


「カラダ探し」では、皆の仲が悪くならないように、間に入って頑張ってきたけど、今は遥と高広の仲を壊してしまいたい。


でも、そんな事をしちゃいけないんだよね。


私を忘れているんだから。


そんな事を考えていると、高広の手が私の肩に置かれた。


そして……。










高広の腕が、後ろから回され、私の身体を抱きしめたのだ。






「ずっと……探してたんだぞ。今までどこに行ってたんだよ、明日香」







何が起こったのかがわからない。


わからないけれど、高広は私の事を覚えていてくれた。


抑えていた感情が、胸を締めつけて……私の目からまた、涙があふれた。