棺桶を見つめて、そんな事を考えていた。


「赤い人」がジッと見つめている棺桶に入れば、「カラダ探し」を終わらせる事ができると遥は言った。


明日が訪れる事を切望していたのに、皆がいない明日が来る事が怖くて、なかなか足が動かない。


「お姉ちゃん達、美紀ちゃんと、もう遊んでくれないの？美子ちゃんの服を、もっと赤くしたいな」


長椅子から飛び下りて、私達に駆け寄ってくる美紀。


この少女は、恐ろしい事をサラッと言う。


「美紀ちゃん、人がいないでしょ？　それに、ゲームが終わったら、お姉ちゃん達は帰る約束でしょ？」


寂しがる美紀をなだめるように遥はそう言い、微笑んで見せたけど、その目はまったく笑っていない。


私だって、もう一回「カラダ探し」をさせられるのは嫌だ。


遥の言葉に、少しすねたような表情を見せた美紀。


この少女が、何を考えているのかわからないけど、何も言わないと言う事は、美紀自身もまた「呪い」に縛られているのかもしれない。


「呪い」にはルールがあって、私が棺桶に入らなければ「カラダ探し」が終わらない。


そう考えると、皆がいない明日が嫌だと私が言っても、皆が生き返るわけじゃない……。


もしかして、八代先生があの時言いかけた事は、この事だったの？


でも、最後のカラダが、「赤い人」の持っている、ぬいぐるみの中にあった時点で、私達は誰かを犠牲にしなければいけなかったのかもしれない。