消去されても良いように、私達の存在を皆の記憶から消す?


遥は本気でそんな事を……いや、遥じゃない。


美紀は、本当にそんな事をしようとしているの?


それが美紀の「呪い」で、定められたルールだとしても、八代先生が言っていた事と全然違う。


長椅子の上で飛び跳ねている、美紀のわがままでかけられた「呪い」は、「カラダ探し」を終わらせた私を、まだ苦しめようというの?


「遥が生き返ったら……あなたが元いたクラスの友達はどうなるの?」


「そんなの知らないよ。だって、『カラダ探し』なんかに巻き込まれたのなんて初めてだし」


そんなの、誰もが皆初めてだよ。


わからない事が多いとわかっていても、きかないと不安を払拭できない。


このまま「カラダ探し」が終わっても、私は元の生活が送れるのかな?


皆、消去されてしまったのに。


高広に返事もできなかったのに……。


「ほら、もうききたい事がないなら行きなよ。生き残ったあんたがあの棺桶の中に入れば、『カラダ探し』が終わるんだからさ」


そう言い、今まで自分が入っていた棺桶を指差す遥。


ひとり生き残った私ができる事は何だろう?