皆から視線をそらして、翔太がそう叫んだ。


と、同時に目の前にしゃがんでいた高広が翔太の頬を叩く。


「もう一回言ってみろよ。それは本心なのか？　あぁ!?」


翔太の胸ぐらをつかんで、さらに問い詰める。


高広は、自分の事以外あまり興味がないと思っていた。


だから、この行動は予想外だった。


人の事で怒った高広なんて、見た事がなかったから。


「だってそうだろ!?　この中じゃあ、俺が一番頭が良い！だったら、俺が生き残った方が、『カラダ』が隠してある場所に、たどり着く可能性が高くなるだろ!?　お前らに隠し場所の特定ができるか!?　推測ができるのかよ!!」


人間は、追い詰められると本性が表れると言うけれど、これが翔太の本性？


私達をそんな風に思っていたの？


「そうかよ……じゃあ、俺達が『赤い人』を引き付けてたら、お前が『カラダ』を全部探してくれるってのか？　あぁ!?」


いつもの高広なら、とっくに殴っていても、おかしくない事を言われているのに。


それに、留美子も呆れたような表情で翔太を見ている。


「ああ、俺の方が見つける事ができるね。高広、毎回テストで赤点取ってるお前なんかは……ひとつも見つけられないんだよ!!」


鼻息も荒く、そう言い切った翔太。


高広は、服をつかんでいた手を放して立ち上がると、留美子の隣に戻って、深い溜め息をついた。