「待ってくれよ。俺だってそんなにポンポン結論を出せるわけじゃないんだ。問題は、遥が誰なのかって事だろ? 次から次へと、わからない事ばかりだよな」


遥が誰なのか……それを考えてしまうと、私達は一体誰のカラダを探しているのだろうか。


ここにいる5人すべて、きっと健司もそうだと思うけど、6人の記憶にあったはずの遥が、誰なのかわからない。


このまま「カラダ探し」をしても大丈夫なのか、不安になった。


「とりあえずさ、翔太が考えている間に、私達は調べていない場所を考えようよ。暇でしょ」


留美子が退屈そうにあくびをして、頭を抱えている翔太の横で、メモ帳に地図を描き始めた。


と言っても、ものすごく大ざっぱな地図で、丁寧に描こうという気がまったくない適当な物。


それを描くなり、棟単位でバツ印を付けていく。

そうすると、やはりすべての棟にバツ印が付いてしまって……調べていない所は放送室だけ。


「あー、やっぱり残ってるのは放送室だけじゃん。後は、クラブハウス? ほら、ウェイトリフティング部とかの部屋もまだだしさ。また綱を運ばないといけないよね……旧校舎に気を取られて、存在を忘れてたよねー」


もう一度あんな事をしなきゃいけないの?


あの重い綱を、体育館から運んで、西棟の屋上から降りなければならない。