三階とは違い、南側には購買の部屋と教室が3つと何かの部屋、北側には部屋がひとつに、生産棟へと続く渡り廊下がある。


昼間、遥に追いかけられた時に、私が隠れたトイレのある棟だ。


「生産棟は広いからなあ……」


そんな事を呟いて、私は南側へと向かった。


購買の部屋に入ろうとしたけど、ドアが開いていて、中の物が棚から落とされていて、翔太が調べたのだろうという事がわかったから、入るのを止めた。


もしも、「赤い人」が現れた場合、廊下にいるよりも教室の中にいた方が、隠れる所がある分、助かる可能性は高い。


それに、廊下で「赤い人」を見てしまったら、どうやって振り返らずに逃げればいいのだろう?


後ろ向きでT字路まで走って、大職員前の廊下を逃げれば良いのだろうか?


なんて、そんな事を考えていても仕方がない。


購買の部屋を素通りし、次の教室に入って、まずは室内を見渡した。


「やっぱり、見える場所には、ないんだろうな……」


教室の後ろから入ったから、ロッカーやゴミ箱は近い。


さっきみたいに、モップが倒れてきただけで驚かないように……私はロッカーを開けた。


予想外……と言うか、当たり前と言うか、きれいに収納されている掃除用具が倒れてくる事はなかったのだ。