留美子の言葉に、今度は溜め息をついてメモ帳に地図を描く翔太。


私達が翔太に会いに来た理由は、悲しいかな健司の家を、誰も知らなかったから。


そして、翔太に地図をもらい、教室を出た私達は、翔太の地図を頼りに健司の家に向かって学校を後にした。


健司の家は学校からそんなに遠くはないらしく、徒歩でも20分かからないという事だ。


「違うって、これが学校でしょ? だから、地図の向きこうだよ」


「あ? そこの神社がここじゃねぇか。だったら、俺が正しいんじゃねぇの?」


翔太の描いた地図は、思ったよりも簡略化されていて、過程を飛ばして結論だけ述べるという性格がそれにも出ていた。


おかげで私達は、あーでもない、こーでもないと言いながらすでに40分。


翔太に電話したいけど、今は授業中だから答えてはくれないだろう。


「はいはい、私が見るよ。喧嘩してても先に進まないじゃん」


そう言って、高広の手から地図を取った留美子は、しばらく考え込んだ後、地図を回転させて歩き出した。