いつもの天井、いつものベッドの上。


身体を起こすと、携帯電話もいつも通り机の上にある。


部屋を見回しても、別段変わった様子はない。


まだ、「昨日」は変化していないみたいで……。


安心すべきなのか、ガッカリすべきなのかもわからないまま、私は学校に行く準備を始めた。


「昨日」は、翔太にきく暇がなかったから、八代先生から何を聞き出せたかわからなかったけど、日中なら話ができる。


それに、健司のあの変貌ぶり。


精神的におかしくなったとかいうレベルじゃない。


屋上から飛び下りた時のように、何かに操られているような感じがした。


それに、「美子ちゃん」と言っていた。


「昨日」も思った事だけど、どうして「赤い人」の名前を知っていたのだろう。


私にはわからない事ばかり。


制服に着替え、携帯電話をカバンに入れて部屋を出た。


階段を下り、キッチンで食パンを一枚、トースターで焼く。


その間に洗面所に行って、歯をみがいている時だった。





ピンポーン。




チャイムの音が、リビングから聞こえたのだ。


……何でこんな時に。


口の中が泡でいっぱいなのに。


いつもの「昨日」では、この時間には誰も来なかったから、きっと高広に違いない。