次の朝
貴ちゃんが仕事に行き
綺麗に部屋を掃除をしてから
私は離婚届のコピーと、保険証と共にテーブルに置く。
「あ……」
それと
自分の歯ブラシとコップを燃えないゴミ袋に入れ、トランクを持つ。
振り返らない
部屋は見渡さない
未練も何もない。
ガラゴロとトランクを引きずって歩くと、何だか楽しくなってきた。
これからどうしよう
考えよう
大丈夫
何とかなる。
空を見上げる
空が青い。
あぁ
知らなかった
空ってこんなに青いのか
こんなに綺麗なんだ
こんなに澄んでいるんだ
知らなかったよ
目を細め
しばらく観察してしまう。
空なんて
何年も
見上げてなかった。
バス停に立ち
老人の間に入ったので
遠慮して一番後ろに下がる。
バスに乗る。
一番後ろの席に乗る。
平日のバスは空いていた。
だから
いつも憧れがれていた一番後ろの席に乗る。
目的地は
終点の
ちょっと都会のバスターミナル。
そこからまたバスに乗り
一番後ろの席に座り
終点まで乗る。
気のすむまで乗る。
遠足気分で
小さなバックからチョコを取り出し口に入れると、甘さが広がり幸せになる。
チョコって
こんなに甘かったっけ。
私は忘れないうちに
携帯を手にして
綾子と貴ちゃんからの電話を着信拒否にする。
きっとそのうち
実家の親からも電話がくるだろう
ダメ出しあるだろう
嫌な事も言われるだろう
貴ちゃんにも
居場所を知られるかもしれない
これから
どうなるかわからないけど……。
バスの中から
窓越しに空を見る。
空は青い
太陽は出ている
宇宙人の侵略はない
マヤ文明の予言もまだらしい
どんなに
つらくても
嫌な事があっても
きっと
太陽は上って下がって
朝が来て
夜が来て
私達は生きている。
だから
きっと
大丈夫。
【完】
ここまで
読んでいただき
本当にありがとうございます。
何か感じていただけたら
とっても幸せです。
つたない文章ですが
読んでいただき
感謝します。
ありがとうございました。
H25.2.22
さくらラテ
※H29.10.11修正
小田真紗美。
読んでいただいたみなさんに
心を込めて
ありがとう。