吐息が触れ合うほどに近づかれ、
もう私に佐倉くんの瞳を見ていられる勇気はなかった。






囁くように、

「いつまで強気でいられる?」

と言う。




その瞬間。

どくん、と。



心臓の奥で何かがじわり、広がった。






「顔…真っ赤ですよ?」


「はなしてって――!!」







私の言葉は、佐倉くんの赤い唇に塞がれた。





唇に甘い熱。


瞳をギュッと閉じた瞬間、涙が零れた。






舌先が這うように刺激する。


まるで食べられているような、容赦ないキス。




息苦しくて、
頭の芯が溶けそうだ。



思考が霞んで、囚われたみたいに身動き一つ出来ないガチガチの身体。





「ン、」



佐倉くんは見透かしているのか、強引にねじ込まれる舌。


その感覚に、思わず目を見開く。




なに、これ――…。






絡めとられる舌。

背中に冷や汗、
ゾクゾクと得体の知れないものが駆け上がってくる。



カシャカシャと私がかける眼鏡がずれ、それを佐倉くんは器用に外した。


より一層、深くなったキス――。