こんな日はビールにどっぷりと溺れてしまえ!と思いながら帰宅すると、
部屋の玄関先に不審者がいた。
キャップを目深に被り、背中をドアに預けて座り込んでいる。
大きなスーツケースとボストンバック。
驚きで動けなくなってしまった私を見つけた不審者は、立ち上がるとキャップを取った。
その瞬間、唖然とする。
「…嘘…菫?」
小麦色の肌に、男のコのようにサッパリとした短い髪。
満面の笑顔で駆け寄ってきて、そのまま私に飛びつく。
「お姉!久しぶりーっ!!元気だった!?」
自由奔放な妹は、突然やって来た。
才能がありながらも勝手に音大を辞めて、勝手にハワイへ行ったまま帰らなかった妹が。
「お姉!ちょっと痩せたんじゃない?」
再会を喜んでいる菫の片手には瓶ビール。
……おいおい、ココで飲んでたのか…。
「って、お姉聞いてるー?ユーレイでも見てるみたいな顔しちゃってさ!」
「いや、だって…。」
そりゃ、びっくりするだろう……。