「それでも、俺は…。」 何かを言いかけて、でも佐倉くんは。 佐倉くんはもう何も言わず、私の目を見ることもなく、背を向けて行ってしまう。 今度は身動き一つ出来なかった。 佐倉くんを引き止める言葉も術も、私は知らない。 小さくなっていく背中が滲んで見えなくなる。 私は、その場に立ち尽くし、ただ泣いていた。