「…明日から二日くらい、東京の本社に出張なの。」
そう言うと佐倉くんは、
「えぇぇ!?」
と、間の抜けた声を上げた。
「な、何よっ!?」
「…じゃあ、芳乃さん店来ないんですか?」
「うん。」
すると、肩を落として溜め息を吐く佐倉くん。
私には、さっぱり訳が分からない。
「つまんねぇーのー。」
「…は?」
「芳乃さんがいないんじゃつまんないですよ。
あーぁ、寂しいなぁー。」
何を言いだすかと思えば…。
周りを気にもしないで、そういう口説き文句みたいなの……本当恥ずかしいから勘弁してっ!
真っ赤になって固まっていると、
「電話、あっメールでもいいんで下さい!心配だからっ。
寄り道しないで早く帰ってきて下さいね!」
と言って微笑む佐倉くん。
香織さんは興味津々といった様子で、好奇心に満ちた瞳で私たちを観察している。
その視線がイタい…。