「一口ちょーだいっ。」
「えぇぇ。」
佐倉くんは驚いている様子で素っ頓狂な声を上げた。
「…何よ。」
「…間接キスですね。」
ニヤリと笑う佐倉くんは、とても憎らしい。
……なんか悔しいんですが。
「も〜らいっ。」
半ば無理やり佐倉くんのカクテルを奪い、口をつけた。
喉へ流し込んでから、私は目を見開く。
「ウッ…ケホ……強っ…。」
真っ白で清楚な見た目と違い、それは強いお酒だった。
喉が熱い。
佐倉くんは、さっきから平然とこんなものを飲んでいたのか。
「大丈夫ですか?」
と、佐倉くんは私の顔を覗き込む。
「……んで、こんな、強い…。」
そう言うと、
困ったように苦笑して言った。
「実は緊張してたのは俺の方だったりして。」
「…へ?」
「まぁ、酒の力を借りたヘタレだったって事です。」
その言葉の意味を理解した時、私の心は花火のように打ち上がり弾けた。
ドキドキしたり、あたふたしたり。
私だけじゃなかったんだ。
佐倉くんも、
同じ気持ちを持ってたんだ…。