結局、カクテルの事を佐倉くんに任せきりにすると、私の前には赤いカクテルがやって来た。
ミリオンダラーという名前のカクテルで、
口当たりは滑らか、とろけるようなフルーティーな味わいだった。
「綺麗」、「美味しい」などと素直な感想を述べれば、佐倉くんは嬉しそうにふにゃりと笑う。
カクテルはどれも美しく、私にとっては刺激的だった。
中でも、私はベリーニというカクテルを酷く気に入った。
フルート型のシャンパングラスに注がれたそれは、ピンクのようなオレンジのような色で、
スパークリングワインの爽やかな味に上品な甘さが加わって、とても飲み口が良い。
「キミは何飲んでんの〜?」
それほど飲んだつもりはないのに、ずいぶんと酔っている気がする。
この洒落た空気に酔ったのだろうか。
「ホワイトレディですよ。」
カクテルグラスの中のそれは、透明に近い白で、あまりの美しさにときめかずにはいられない。