「貴女が恋愛慣れしていないのは心得てますから。
俺はいくらでも待ちますよ。」




佐倉くんの手が私の髪に触れ、私の頭を撫でる。





これじゃ、どっちが年上か分からない、なんて思いながらも、
私は自分の心がきゅうっと縮んでいくのを感じていた。










「だから芳乃さん。」


「…ん?」


「デートの申し込み、受けなさい。」


「……はい。」




佐倉くんは「よく出来ました」とでも言うように私の頭を撫で続け、
その間、私はずっと俯いていた。








頬が熱くて、
きっと顔は真っ赤なんだろうと思ったから。