夕暮れのオレンジが行き交う人々の背中を照らす。
駅前の片隅、その一角で俺は頬杖をつき、地面に胡坐をかいていた。
俺の態度の悪さに、壱は顔をしかめる。
「お前、もっと愛想よく出来ねぇの?」
「はい、はい。」
俺は渋々立ち上がる。
「仕方ねぇだろ。人前で唄ったことなんかねぇんだから。」
路上でやってみよう、と言い出したのは壱だ。
いわゆるストリートミュージシャンというやつ。
金曜日の夕方、
俺たちは――『Baby Apartment』は初めて人前でライブじみたものをする。
って言っても、組んだばかりの俺らにオリジナル曲なんてねぇから、すべてコピー曲だ。