「探してほしい、千早を。――今、アイツを一人にしたくない。」
香住がニコリ、余裕たっぷりの笑みを浮かべた。
俺はきっと、香住にだけは頭が上がらない気がする。
「さぁて。お姫さまの捜索といきますか。」
笑顔で言う香住は、どこか楽しそうでさえある。
「あのアホ、食い意地張ってっからなぁ。
俺、ファミレスとかカラオケ見てくるわ。」
勢い良く立ち上がる梓月。
「誰が見つけられるか、競争だヨ!」
リョウはわざとなのか、この場に似合わねぇウィンクをした。
俺の横を通り過ぎる時、ポンッと俺の肩に触れていく。
そうして、ヤロー共は玄関へ向かい、
雨の中へ飛び出していった。
俺の肩に残された、それぞれの思い。