ずぶ濡れの俺は、一人佇み、そう告げた。
殴り飛ばされたり、蹴り飛ばされたり。
真実を知るリョウは壁に背を預けたまま座り込み、
床に崩れ落ちたままの梓月は信じらんねぇって顔してる。
それは、ごく当たり前のリアクションだと思った。
けれど、蹴り飛ばされた香住は腹を押さえて言った。
「ッ…気づいて、いましたよ。」
絞りだすように発せられた香住の言葉を受け止める。
が、しかし。
今の俺は上手く頭が回らない。
「…そうか。」、と言うのが精一杯だった。
千早が女だという事実をコイツらに言っていいのか、
口にした今でも正しいかどうかなんて分かんねぇ。
けど、もう黙っているのは無理だと思った。
俺一人の力じゃ、無力すぎる。