不思議なもんだと思う。
一人が立ち止まれば、また一人が立ち止まる。
また一人、また一人……。
そうやって音楽の輪は繋がっていくのかもしれない。
壱が掻き鳴らすアコースティックギターのメロディー、俺の声。
空は夕焼け。
燃えるように、赤く、赤く、染まっていく。
誰も立ち止まることのなかった駅の片隅、
今では人だかりが出来るようになっていた。
俺は音楽に包まれながら、壱と視線を絡める。
フッと笑う壱。
真夏の夕暮れ、共有する歌が俺たちを結んでいるんだ。
俺たちは確かにここで生きていて、
生まれた音楽があって――。
空を染める赤のように、どこまでも続いてゆける。
きっと。