初めて締めたネクタイの、首にまとわりつく感覚に耐えかねて、俺はそれをルーズに緩めた。





西園寺グループのナントカ記念ナンチャラパーティーとか何とかに招かれた俺たち。(←強制的)



豪華なホテルで立食パーティーという状況で、俺が楽しむべきは食事だけだ。






何かも分からないデカい肉に、フォークを突き刺して噛りつく。



周囲のセレブ連中は、眉間に皺を寄せて俺をガン見していた。










「皆様。本日はお集まりくださって、ありがとうございます。」




深紅のドレスに身を包んだ桜子サマは上機嫌。






その背後には、
グレーのネクタイとジャケット、黒のシャツを身に纏った壱、
全身真っ白のタキシードでTHE王子様な香住サン、
逆に全身真っ黒なスーツのリョウ、
どっかのロックスター?って感じのポップで奇抜なスーツ姿の梓月。




桜子サマはイケメン達を従えてご満悦ってか?








至って無難なスーツを着せられた俺は他人事のように眺めていたが、壱が口パクで俺を呼ぶ。





……面倒くせぇな。




俺は渋々立ち上がった。