リビングに行くと、俺の腹立たしさは更に増す。
「夕食、温め直しますね。」、と香住が笑いかける。
「千早♪一緒にテレビ見よっ!」、とリョウが天使の微笑みを向ける。
イライラする。
どうしようもなく。
壱も、香住も、リョウも、千早の帰りを待っていた。
壱の切羽詰まった表情も、
香住の笑顔も、
リョウの微笑みも、
気に食わない。
身勝手な嫉妬だ、と分かってる。
それでも、だ。
俺の本能が叫ぶ。
千早が好きだ、と。
千早を誰にも取られたくない、と。
いつまでも立ち尽くしている俺を、千早は不思議そうに見つめた。
「梓月?どうした?」
千早の瞳に、俺はどんなふうに映ってるんだろう――。
「梓月?」
男だとか、女だとか。
そんなもん、もう、どうだっていい。
俺の本能が叫ぶなら――それが全てだ。