少し、散歩をして帰ろうと思った。
日曜日だっていうのに、
花見シーズンだっていうのに、
公園内は酷く静かだった。
聞こえるのは、風の音。
どこか遠くで、子供たちの笑い声。
春風に舞う、花びら。
咲き誇る桜たちの下を、私はゆったりと歩いた。
小高くなった丘を上り、辿りつく。
いつか、ジンと見上げた桜だ。
あの時は、夜桜だったけど、白い花は青い空にもよく映えると思う。
私は空に向かって腕を伸ばして、深呼吸をした。
胸いっぱいに春の匂いを吸い込んで、全身で新しい季節を味わう。
何だか、とても幸せな気分だった。
その時、足音がして、
私はそちらに視線をやった。