空に漂う夏雲。
スカイブルーの青い空。
教室の窓の向こうに広がる夏。
朝の残り物を包んだお弁当を見た歩美が、感心している様子で呟く。
「イイ嫁になれるよ。」
「残念ながら嫁に行く予定はありません。」
鮭ご飯は冷めても美味しい。
だし巻き卵もお弁当にピッタリだと思う。
あれから、本宮貴一郎とはメールをしている。
メールアドレスを渡してほしい、
と観月さんに頼んだ時、彼はやっぱり泣いていた。
メールの内容は、本当に他愛のないこと。
私が近況を伝えるくらい。
本宮貴一郎から送られてくるメールは、誤字脱字が多く、絵文字の使い方も何だか可笑しい。
『大丈夫か【パン】?』、とか。
……アンタが大丈夫か!?って話だ。
観月さんによると、メールの使い方を一生懸命勉強しているのだとか。
それを聞いて、私は思わず笑ってしまった。