放課後になると、私はさっさと荷物をまとめる。
この光景は、もう歩美にとっては見慣れたものになったらしい。
そんな中、歩美が「あ…」と呟いた。
すでに、カバンを手にした私が視線を上げると、
そこには桜助。
ふらりと近づいてくると、桜助は私に言った。
「翼!今日これから遊ぼっ♪」
「…………。」
すっげぇ軽いノリ……いや、チャラい。
そう思わず言ってしまいそうになったが、何とか飲み込んだ。
「あっ!ゲーセンとかさ!」
「無理。」
はっきり告げると、桜助は珍しく肩を竦めた。
「…また犬かよ。」
「うん。」
桜助は大袈裟な溜め息を吐き出す。
ここ最近、放課後になると桜助はいつもこんな調子で。
毎回誘ってくる元カレシを、私は毎回あしらっていた。
だが、いつもはメゲない桜助が、今日はあからさまにヘコんでいる。
歩美も、私と同じ事を思ったらしく、口を開いた。
「珍しいね〜。いつもだったら、押しまくりなのに。」
「俺だって、さすがに落ちるよー。翼は本当頑固だよなぁ。」
「う〜ん、翼が頑固っていうか、アンタがしつこすぎ?」
「うっそぉー!?」