「モモー!あたし、あたしね!!あたし、モモの笑顔が大好き!」
俯いていたモモが、顔を上げた。
「俺、頑張るからっ!絶対叶えてみせるからっ!!」
電車が加速して、線路を挟んだ反対側のホームにいたあたしに、もう追いかける事はできなかった。
小さくなっていく電車を、あたしはいつまでも見つめていた。
頬を流れる涙を拭う。
きっとモモは、笑ってって言うから。
あたしは顔を上げて、透き通るように青い空を仰ぐ。
約束なんて何もないし、
変わらないものなんてないのかもしれない。
あたしの気持ちも、モモの気持ちも、
いつかは消えてしまうのかもしれない。
それでも、一つだけ確かな事がある。
あたしは、きっとモモを忘れない。
何年、何十年、何百年後の未来だって、
記憶を辿ればモモが笑っているから。
一人、地元を離れて、
夢を追うモモの応援歌には…………
きっとHALUの『スプリング ハズ カム』が、しっくりくる。
見上げた空の色、
一人口ずさむ『スプリング ハズ カム』。
ホームに枝を伸ばす桜の木、
小さな花が一輪咲いていた。
『 SATURDAY23s!
引き続き、HALUがお送りします。
さぁ、
今夜は“青春”をテーマにメールを募集しているわけですが。
エリーさん、
素敵な青春のエピソードを送ってくださって、
ありがとうございました。
甘酸っぱくて、
ほろ苦いエピソードでしたね。
こういう、真っすぐで純粋な恋愛、いいですねぇ。
歳をとりすぎた私には、
まぁ……無理ですね(汗)
そして、実は、
エリーさんからのメールには続きがあります。
ご紹介しますね。
あれから数年の時が経ち、私も自分だけの夢を見つけました。
大学を卒業後、
現在は小学校の教師として働いています。
まだまだ未熟ではありますが、
私はこの仕事が大好きです。
そして、HALUさん。
学生時代から、ずっと聞いていた「SATURDAY23s」が今夜の放送で終了を迎えてしまう事は、
本当に残念でなりません。
「SATURDAY23s」もまた、私にとっての青春そのものでした。
HALUさん、
私の青春には、実は続きがあります。
来年、桜咲く頃に、
私は結婚します。
私と彼にとって、
「SATURDAY23s」は悩み多き10代を彩り、時には支えとなってくれました。
ピンクとブルー、
二人で色違いの携帯ストラップは今でも大切にしています。
本当に、ありがとうございました。
そして、HALUさん。
長い間、お疲れさまでした。
エリーさん、
ありがとうございます。
……さて、この「SATURDAY23s」も今夜の放送をもって終了する事となりました。
時の流れとともに世の中は変化していくものですが、それはきっと新たな旅立ちであると私は思います。
エリーさん、
ご結婚おめでとうございます。
「SATURDAY23s」で最後にご紹介したメールが、
幸せな便りで私も嬉しいです。
どうか、
お幸せになってください。
エリーさんが人生の節目を迎えられたように、
私も、この番組も、卒業という節目を迎えました。
リスナーの皆さん、
長い間、本当にありがとうございました。
新たな旅立ちへの希望を胸に、
リスナーの皆さんへ感謝を込めて。
……最後の1曲となりました。
「SATURDAY23s」、
私にとっての青春でした。
聞いてください。
私、HALUで「スプリング ハズ カム」。
お送りしたのは、HALUでした!
皆様、本当に
ありがとうございました。 』
はじめまして!の方も
そうでない方も
こんにちは*
水野ユーリです。
『高校生カップルズ』を最後まで読んでくださって、本当にありがとうございました。
甘酸っぱくて、ほろ苦い10代の爽やかな恋愛を描きたい………そんな漠然としたところから書き始めたお話です。
物語の中には、
エリーとモモを始めとして、
美帆と立花くん、
メガネ(相沢)とチビ(瀬名)、
そして志木くんと花波ちゃんという4組のカップルが登場します。
そして、
それぞれのカップルが「進路」という問題をきっかけに、
遠距離恋愛や別れを選びます。
若さ故の真っすぐで脆い恋愛が描けていればいいのですが……(汗)
まだまだ未熟ですね。