ファーストフード店の窓ガラスからも店内を眺めてみる。
店内も、やっぱり高校生ばかりで、どこを見ても制服だらけ。
何気なく、そんな光景を見ていたあたしは足を止めた。
奥から2番目のテーブルに、モモの姿を見つけたからだ。
モモと同じテーブルに向かい合って座っていたのは、あたしの知らない女の子。
うちの学校の制服ではなかった。
茶のブレザー、赤いリボン。
黒い髪は、肩にかかるくらいの長さ。
笑う、というより微笑むという感じの笑顔。
清楚な感じの子だと思った。
知らない女の子……。
他校の見知らぬ女の子……。
モモの“急用”って、これなの?
女の子とファーストフード店で楽しそうに話すのが、急用なの?
………はっ……バッカらし。
あたしは、笑顔の二人から目を離して歩きだした。
さっきまで、あれほど大きな壁だった女子高生4人組を簡単に抜き去って。
薬局でリップクリームを買う、そんな事はもうすっかり忘れていた。