「どうしたの?」 突然のはっきりとした声に、俺はびくっと肩を揺らした。 もう寝ていたんだろう。 暗い部屋の中に、ヒメが瞳を擦りながら立っていた。 俺は人差し指を口に当てて、「静かに!! 」とジェスチャーをした。 そんな俺に、ヒメは首を傾げている。 そして扉越しに、たぶんアパート中に響いたであろう大声。 「王子様を返してーーー!!!!」 誰か……助けてください…………。