足元の小枝や石が邪魔で走りにくい。

真っ暗な闇に支配された山道を駆け上りながら、独り呟いた。


「そうか……そうだったんだ……蛍なんだ……」


蛍だったんだ……。

さっきポストのところで見た蛍の事を思い出す。

きっと悠太は、私たちに何かを伝えようとしている。


「志津!ちゃんと説明しろよ!!」


後方で陸がわめく。

説明している時間なんかない。


「急いで!」


私は走りながら叫んだ。