陸と悠太の背中を急いで追いかけた。

裏山に行くルートは1つ。

高校へと続く石段の手前、ばあちゃんの駄菓子屋を右に曲がる。

石段は街灯で照らされているのでそれなりに明るい。

一方、裏山は暗い上に墓地まである。

肝試しをするには打ってつけの場所だが、わざわざ星を見に行くために裏山に登った人なんか聞いた事もない。


「本当に綺麗に見えるの?」


「裏山だと街灯がない分、星がよく見えると思うんだ」


「ぶーぶー文句言うなら、待ってろよ」


「だって、夜の裏山って何か……」


と、駄菓子屋の前に差し掛かる。


「おっ」


丁度ばあちゃんがシャッターを下ろそうとしていた。


「あ! ばあちゃんだ!!」


悠太が帰ってきたことを教えてあげようと、私は大きく手を振る。


「ばあちゃーん!!!」


声に気が付いてばあちゃんは、シャッターを半分までおろしてぴたっと手を止めた。


「あら。何してるの、こんな夜に」