黒いオオカミ茶色いうさぎ

【数日後の放課後・夕暮れの教室】
(オレンジ色の夕日が差し込む教室。翼は1人、窓の外をながめている)
翼:(モノローグ)「あの場面を見てから、一ノ瀬くんのことばっかり考えちゃう。からかわれていると思っていたのに、あんなに真面目な目を向けられたら……もう、自分の気持ちに嘘はつけないよ、」
(ガラッと教室のドアが開き、レンが息を切らせて入ってくる)
蓮:「はあ、はあ……やっと見つけた。翼ちゃん、今日も逃げる気だった?」
翼:「一ノ瀬くん……。逃げないよ、今日は待ってたの」
蓮:「え……?」
(いつも余裕たっぷりな蓮が、驚いて目を丸くする)
翼:「私、一ノ瀬くんが転校してきてから、ずっと心臓が壊れそうで……。他の女の子と話してるのを見ると、チクっと痛くなるの。だから、からかい半分ならもう優しくしないで」
蓮:「……っからかい半分なわけないじゃん」
(蓮、一歩一歩ゆっくりと翼に近づき翼の両手を優しく掴むその手は少し震えている)
蓮:「俺さ、ずっと前から翼ちゃんが好きだったんだ、前の学校の他校試合で、一生懸命頑張る翼ちゃんを見てから、ずっと……。翼ちゃんと同じ学校に行きたくて、親を説得してここに転校してきたの」
翼:「え……?試合って、あの時の……?」
蓮:「そう。チャラチャラ話してたのはそうでもしないと緊張で声が震えそうだったから余裕ぶってただけ、本当は翼ちゃんが白石と話してるのを見て、頭おかしくなりそうだった」
(蓮、翼の額に自分の額をコツンと合わせる近距離で、愛おしそうに目を細めて微笑む)
蓮:「俺の全部翼ちゃんにあげる。だから……俺と付き合ってください」
翼:「……うん。私も一ノ瀬くんが好きです。私が恋人なら……」
蓮:「あはは、可愛い。……じゃあ、もう遠慮しないからね?ずっと俺のことだけ見てね」
(蓮、翼を壊れものを扱うように愛おしそうに抱きしめる)
翼:(モノローグ)「平凡な毎日が好きだった。5分、このちょっと甘くてちょっぴり強引なオオカミさんにどこまでも連れ去られていいかも」