黒いオオカミ茶色いうさぎ


【蓮の部屋・ベッドの前】
(耳元で囁く蓮に、翼は真っ赤にして固まっている。心臓の音が部屋中に響きそうなくらい緊張している)
翼:「い、い、ノ瀬くん……からかわないでってば……!」
(翼、恥ずかしさのあまり両手で顔を隠す。ぶかぶかの袖が余って、まるでウサギが耳を隠しているよう)
蓮:「(クスッと優しく笑って)あはは、ごめんごめん。……でも、からかってないよ?」
(蓮、顔を隠してる翼の手首をそっと掴み、自分の方に引き寄せる)
蓮:「本当に、翼ちゃんが可愛すぎてどうにかなりそうなだけ。……ほら、顔見せて?」
(ゆっくり手を下ろされるとそこには涙目で真っ赤になった翼の顔がある)
翼:「……っ……ノ瀬くんがカッコ良すぎるのが悪いの」
蓮:「え……?」
(まさかの不意打ちの言葉に、今度は蓮が呆然として、一瞬で耳まで真っ赤になる。立場が逆転し、ドギマギする蓮。)
蓮:「……っ……、今のずるい。翼ちゃん、無自覚に俺をメロメロにするのやめてよ……」【数日後・放課後の教室】
(夕日が差し込む綺麗な教室。翼が窓際に座っていると、後ろから蓮が楽しそうに近づいてくる。)
蓮:「翼ちゃん!今日も一緒に帰る?」
(蓮、当たり前のように翼の隣に座り、椅子の背もたれに腕を回して覗き込んでくる。前と同じだけど今の2人の空気はあの時よりずっと甘い)
翼:「うん、いいよ。あっても白石くんから委員のプリント渡しといてって」
蓮:「ええ?またあいつの話?もう俺だけ見てって言ったじゃん」
(蓮、少し拗ねたように口を尖らせて、翼の手を机の下でぎゅっと握らせる)
翼:「ふふふ、拗ねないでよ。私、特別な人は一ノ瀬くんだけでしよ?」
蓮:「……うん。俺の特等席、誰にも譲らないからね」
(蓮、嬉しそうにニッと不敵にでも世界で1番愛おしそうに笑う)
翼:(モノローグ)「ちょっと意地悪でものすごい一途な黒いオオカミさん。私はもう、この甘い罠から逃げられそうにありません」