没落令嬢は、再会した年下祓い師の「目」になる

 路面電車に揺られて二十分ほど。ついたのは、問屋街で知られる街だった。

(当たり前だけど、貴弥、背が高くなったのね……)

 仕事中に着ている紺地に白絣の木綿の着物を着た瑠璃は、隣を歩く貴弥をちらりと盗み見た。
 貴弥と最後に出会ったのは七年前。十歳の貴弥は瑠璃よりも小さかったというのに、今では貴弥の方が頭一つ分は大きい。瑠璃だって決して小柄ではないのだけど。
 流麗な線を描く横顔。少し色素の薄い茶色かがった髪がさらさらと揺れる。
 先ほどからこの辺りを歩く少女たちがちらちらと貴弥を見ていることに気づいていた。

(凜としてかっこいいものね……)

 じみじみと思う。小さいときから可愛い顔立ちだったけれど、こんなにかっこよくなるなんて反則だ。

「どうした。瑠璃」

 瑠璃の視線を感じたのか、貴弥がこちらを見た。

「え、いや、その久しぶりだなって思って」

 慌ててごまかす瑠璃の言葉に、貴弥が眉をひそめる。

「久しぶり?」
「若旦那様について何度か来たことがあるから」

 若い女性が身につける品物は若い女性が選んだ方がいい、という理由だ。

「それは二人きりでか?」
「そうよ。あんまり大人数でぞろぞろ行く場所でもないでしょ?」
「……」

 貴弥はむっつりと黙り込んでしまった。

「貴弥。どうしたの?」
「なんでもない」

 貴弥はわずかに唇を尖らせている。これは彼が拗ねたときによくやる表情だ。
 もっとも、拗ねる理由がわからないけれど。

「ほら、瑠璃。そろそろつくぞ」

 拗ねている理由を聞く前に、貴弥が言った。